3/15[前編] 3月の三つ峠でドラマを狙う
前日の前線による通り雨(雪)の後、霞んだ様子の富士山周辺。
三つ峠や箱根にも降雪が確認されたものの、ヌケが悪いためイマイチな予感。
前日夕方の様子。雪は比較的ついているし、雲海も。
基本的には「撮影はなし」の方針で様子を見ていましたが、風向きなどの判断から少しの可能性を見出します。
朝は東風も、9時頃から南風となり、富士五湖側の雲海発生や、笠雲の予感もあり。
ライブカメラとにらめっこしていると、雲海は消えましたが上部のヌケが回復している様子。
風向きは朝に変わってくるし、可能性はある!
そして朝イチはダメでも、9時以降に良くなる可能性がある!
さらに、薄雲も流れてきており朝焼けの可能性もある!
そんな予想で、三つ峠へ行くことを決めました。
ギリギリまでライブカメラで様子見していたので、出発が遅れて0時頃に家を出る。
―
そして三つ峠へ。
山中湖付近で気温マイナス5℃となかなかの冷え込みのため、防寒対策もしっかり。
登山口までは雪があるも、なんとか車で進入。
登山口からはすぐにアイスバーンとなっているとの情報のため、スタートからアイゼン装着で登ります。
日中に溶けてツルツルになった路面の上に、新しく雪が1cmほど降ったような状態。
アイゼン無しでは登山できなかったでしょう。
登山道沿いの木々を見ると、全く着雪していなくて、雪景色はあまり期待できない…。
雪景は諦めて、雲海や朝焼け、もしくは予想される笠雲を狙うことにしますか。
この日は知人も多く登っていて、早水さん、大沢さん、成瀬さんを追い抜いて稜線へ。
しかしさっきまで輝いていた月がボヤッとしており、なんと展望台からの富士山は見えない!
私が到着すると同時に雲が湧いたようです。
しかしこれも予想した「雲海」ということでしょう。東風も予想されていたので、朝は雲隠れも想定内。
ひとまず雲が出たら高いところへ!雲海の上に出ることを期待して更に登ります。
すると何とか頭が見えている!!
そして撮った写真がコチラ。 ちょうど月が出た後で、雪面にも表情があるのが素晴らしい!
かなり動きの激しい雲で、落ち着きがありません。
目の前で表情が変化。
目の前に出ていた高い雲は、数分もすると消えてしまいました。
そして低い雲海が見えてきます。
4:22 山を流れるいい雲でしたが、撮れたのはこの1枚だけ。
4:38 表情を変える雲海。手前に濃いのが出てきた。
ライブカメラでは雲海が消えたというのに、よくこの雲海を予想したなと自分で関心(笑)
同時にフィルムカメラでのバルブも撮影しながら、展開を見守ります。
気温はマイナス8~9℃くらいで、北風が吹いていてかなり寒かった。
油断すると手先がすぐ冷たくなります。
5:05 濃い雲が消えて、また中間層に雲が漂いだす。
5:07 いよいよ夜明けの時間帯。
空には薄雲がやってきて、朝焼けも期待されましたが…「赤く」はならず。 しかしこちらはナチュラルの紫です。ホワイトバランスは太陽光で、色いじってません。
5:18 そして明るくなりましたが…焼けない。
綺麗なブルーアワーも、パッとしません。
ようやく斜面も見えてきましたが、やはりほとんど着雪はありません。
昨日の夕方はけっこうよく見えたんだけどな~?
風で飛んでしまったか、溶けたか…
朝焼けを期待して待つも、なかなか染まりません。
遠くの空は少し赤くなっていましたが、霞んでいて少し色が滲む程度。
この時間帯は変化がなく、ただ青い空を眺めていました…
5:48 ふと見上げると、雲が不思議な模様を描いていました。月もセットで撮影。 雲のおかげでいろいろな撮り方が考えられますね。
これは吊るし雲の一種か?なかなか興味深いです。
肉眼では見えづらかったですが、PLフィルタ越しに見るとこの雲が浮かび上がりました。
5:59 そして日の出へ… 雲間からかろうじて太陽が見えました。
やはりヌケが悪かったか、雲が多すぎたか、期待した朝焼けはありませんでした。
でも、快晴よりは期待感のある展開でしたね。
6:04 そしてかすかな朝日を浴びて、わずかに紅富士に染まる富士山!
見えますでしょうか? 肉眼ではあの赤い部分が輝いて見えて美しさを感じましたが、写真だとなかなか表現できませんでした。
紅富士も落ち着くと、曇り空の下で変化もなくなって一段落。
この後の変化を様子見しながら待ちます。
6:27 すると、富士山が比較的明るく照らされてきていい雰囲気に。
構図的には「三つ峠ライブカメラ」と似たような感じで。見覚えのある画角です^^
6:30 雲も少し切れて、青空が見えてきました。
こういう構図を変えながらいろいろ試みる撮影が、なんとも楽しい。
そして夜中からずっとくすぶっていたのが、この笠雲の卵。
ひょろっと一筋の雲が。間違いなく笠雲ができる兆候なのですが、気付けば消えてしまい、なかなか大きくなりません。
夜中からずっと出たり消えたりしていました。 でも、一応予想としてはアタリと言いたいところ。小さいけど出ました!
6:55 割りと光が入ってきて、画になるようになってきました。
よく見れば、少しは雪景色になっています。
三つ峠からの富士山は、この1500mm程度のところに雲海がガスが入るととても素晴らしい!
富士山が中腹から浮かんでいるような様子。
低い霧のような雲海だと、ちょっと物足りない。高い雲海が良い。
これを狙う場合は、風向きが南寄りの時が良いです。
冬は北風ばかりで高い雲海がほとんど出ないので、ようやく春になって狙いやすくなりました。
なんとも美しい姿だった!
7:18 そして雲が放射状になり、また面白い演出です!良いね!
7:51 そして青空もだいぶ見えてきました。気持ちの良い空。
しかしここで一気に雲が湧き上がってきてしまい、終了。
富士山も見えなくなり、今日の撮影は終わりにせざるを得ません。
北からガスってきて終了かな? pic.twitter.com/zdsW9SUfTg
— 富士山写真家 オイ (@fujitomo_oi) March 14, 2015
この後は成瀬さんと合流し、軽く散策してから下山しました。
やはり冬が終わると撮影が何倍も楽しくなります。
雲海が出るか?朝焼けするか?笠雲はどうか?
雲が綺麗だから空も入れて撮ろうとか、雲海の動きを主題にして撮ろうとか。
いろいろな撮り方ができます。
冬の撮影は目の前の光景に変化がないので、本当に退屈です。
冬が終わるとこんなに楽しいのか!と久々にワクワクした撮影になりました。
また、天気の「予想」と言う意味でも、風向きや気象予報を使ってイメージを描き、予想に基づいて行動する。
結果は朝焼、笠雲、雲海と全てが中途半端になってしまいましたが(笑)、それでも「予測を立てる」こと、「予測通りになるか確かめてみる」ことが何より重要。
当たっても外れても、これは間違いなく経験として蓄積されます。
今日のチャレンジは素晴らしいものでした。
それから、登山も楽しいですね。
やっぱり、苦労があったほうが気持ちが高まるものです。
良い写真の源はやはり苦労することでしょうか。
ということで…
下山後、「さて、帰りますか~!」と車を走らせていると…
なんと雲は再び晴れ、予想していた笠雲が出ていたのです!
笠雲が出ています(^^) pic.twitter.com/zD2VXTnusw
— 富士山撮影情報 (@fujitomo_info) March 15, 2015
ダメかと思ったけどやはり予想が当たってしまった!
これは撮っていくしかありません!
ということで、後編に続く^^
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Posted at 2015.03.16
Updated at 2015.03.25