【資料】富士山の山頂気温と冠雪イメージ

富士山の山頂気温と冠雪イメージ
富士山の山頂気温と冠雪イメージ

富士山写真家 オイです。

久々のブログ更新ですが、今回は冒頭の画像のような資料を作成してみました。
わかる人にとっては一目瞭然のシンプル便利な資料になると思いますが、せっかくですので少し詳しく解説していきます。

冠雪は重要でしょう
忍野村から望む富士山
雪を被った白い富士山は日本人の心ですから…

まず富士山の『冠雪』は、言わずもがな、富士山にとっての重要な象徴であります。
雪をかぶった姿が定番で、日本人の心には染み付いていると思います。

富士山を撮影(または見る)に当たっては、富士山に雪がどれくらいあるかは、重要な要素になってきます。
好みは色々あると思いますが、やっぱり雪がタップリのほうが嬉しい!というものです。

雨が降ると雪が増えたり減ったりする

通常、冬の時期であれば、地上で雨や雪になると、富士山でも雪が増えます。
私が写真撮影を始めた10年前だと、3月や4月でも真っ白な富士山が見られるのが当たり前と思っていましたが、近年の温暖化で、雪解けの時期が早くなってきた印象です。
「降れば雪」というのは2月まででしょうか。

以前に書いたこちらのブログ記事もありますので参考にどうぞ。
【富士山にもっとも雪が多いのは4月?1年分の富士山まとめ】
https://fujisantotomoni.jp/blog/fujiphototech/RsY3YPR4DF

我々富士山写真家が富士山を撮ろうとするとき、雨の後に富士山がどれくらい冠雪しているかは重要で、常に予測を立てています。

とくに初冠雪のある9、10月頃~11月、また気温により雨か雪かの判定が分かれる3月~6月は、常に気温を気にしています。
(通常であれば12~2月は降れば雪、7~8月は降れば雨となります。)

アメダスという有り難い存在

大きなヒントとなる富士山山頂の気温は、気象庁のホームページで1時間毎に発表されていて、これを参照するのが間違いないでしょう。大変貴重なデータ!
https://www.jma.go.jp/bosai/amedas/#amdno=50066&area_type=offices&area_code=220000&format=table1h&elems=40018
[気象庁]富士山山頂のアメダスデータ
日本の最高地点で毎時、気温や湿度を計測してくれている…

データは更新が遅れたり、発表されない時間もありますが、基本的には毎時更新されています。
地上(富士山麓地域)の天気やライブカメラの映像、数値予報等と合わせ、雨が降っているであろう時間帯の気温を参照してください。
気温が低くても降水がない、という場合もあります。
雨が降っているときは「湿度」の値が98%以上になっているのが普通ですが、雲に覆われている場合など、降水がなくても湿度が高い場合もあるので注意。

当然ながら、序盤は気温が低くても、降水が続いている間に気温が上昇して、雪が溶けてくるということもあります。
降水の後半の値が重視されてきます。

雨雪の境界を計算する

富士山山頂アメダスは文字通り、山頂「剣ヶ峰」にある観測所での計測値だと思われますので、標高は3776m地点となります。

ここから逆算して雨と雪の境界(気温が0℃になる標高)を計算していきます。

その前に前提として、「気温が何度のときに雪になるか?」ということがありますが、気温としては1~3℃程度でも雪になりますが、「地面に残って白く見える」という観点から、今回は0℃を基準に考えています。

山や気象の基本的な理論として”標高を100m上げると気温が0.6℃下がる”という、気温減率という概念があります。
これを使うと、山頂の気温から逆算して、気温が0℃となる標高を計算することができますね!

100mにつき0.6℃という値も条件により変わるようで正確ではないため、ザックリの計算です。
「1℃あたり」にして計算すると100÷0.6≒167mという値が出てきました。

これによって計算すると、山頂3776m地点において
-1℃のとき、0℃になる標高は…3609m
-2℃のとき、0℃になる標高は…3442m
-3℃のとき、0℃になる標高は…3275m
-4℃のとき、0℃になる標高は…3108m
-5℃のとき、0℃になる標高は…2941m
-6℃のとき、0℃になる標高は…2774m
と、計算できました!

ちなみに山梨側のスバルライン五合目が2305m、静岡側の富士宮口五合目が2400mとなっており、木々が成長することができる森林限界の高さもこの付近となっています。

イメージ画像を作成
朝霧高原・2020年10月24日撮影
今回、たまたまイメージサンプルとして選ばれたのは朝霧高原で2020年10月24日に撮影したこちらの写真です。

ちょうどほとんど冠雪がなかったのでベースとして使いやすかったことと、森林限界付近がオレンジ色に紅葉していてそのあたりの標高の感じが分かりやすいかなと。
また場所的に、山梨と静岡の中間であること、斜面の特徴から残雪が残りにくく新雪の状況を反映しやすいという点も考慮に入れました。(山梨側は新雪がなくても残雪が多く残っていることが多い。)

イメージ作成はPhotoshopを使いゴニョゴニョと。冠雪の白い部分は色調や明るさを調整して偽造しました。

そして肝心の書き込みですが、地図アプリである程度の標高を確認しながら、ざっくりと手書きで書き込んでいます。
「そこそこ適当」なんですが、そこそこ妥当だと思います。

雰囲気としても、秋頃に見られる新雪のイメージとほとんど相違ありません。
良いイメージが作れたと思います。

完成したイメージをもう一度掲載しておきます!
富士山の山頂気温と冠雪イメージ
富士山の山頂気温と冠雪イメージ
注意点

今回作成したイメージですが、実際のイメージに即した良いものが作れたと思っています。

私はこれまで10年、アメダスの山頂気温を見ながら予測を定め、実際に雨上がりの撮影を多くしてきたので、その結果から、過去の観測結果に近いリアルなイメージになっていると、ある程度は言えるでしょう。

実際に撮影したデータと、過去のアメダス計測値を照らし合わせながら検証すれば、今回のイメージの妥当性がより明確になると思われますが、今回は割愛させていただきます。

実際の雨上がりには、イメージのような直線的な綺麗な冠雪となるわけではないことも、当然ながらご了承ください。
雨量が少なければあまり白くならない場合もあります。
風などの影響で冠雪のラインがもう少しソフトになっている場合もあります。
地域による天候の差で、冠雪のラインが斜めになっている場合もあります。
とくに初夏の時期では、新雪の下に残雪が残っていて両者が重なります。
アメダス値は1時間毎の発表であるため、間の時間に気温などが変化している場合があります。
その他様々な要因で、今回のイメージとは異なる結果となる場合があることを、予めご承知の上、活用ください。

私自身、山頂アメダスを見ながら冠雪の具合を探っているのは古くからなので、頭の中のイメージをようやく形にできて少しスッキリしました。
標高と気温の関係はほぼ明確なので、考えれば簡単にイメージができることでしたが、このように簡潔に図に示したのは初めてで、ある意味で革新的?だったかもしれません。。

富士山に対する愛が伝わる内容となったでしょうか?(笑)
富士山撮影の際にはぜひ参考にして下さいね!

富士山写真家 オイでした。

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