8/4 4泊5日南アルプス白峰大縦走[3日目・北岳山荘~農鳥小屋]
今回の旅の計画および全容は、ダイジェスト編をご覧ください。
各日の山行記はコチラ。
・初日
・2日目
気合の南アルプス大縦走も3日目に突入です―
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前日は雷雨の中のテント泊。
日没頃にはすっかり夢の中でした。
カメラマンの朝は早い。
朝というか、夜である。
0時過ぎに目が覚をさますと、富士山の姿を確認した…。
眠くても富士山が見えればシャッターを切るのが富士山写真家の本能。
さっそく、テント前にカメラを立てて撮影をしてみる。
0時51分撮影、高くまで霞んでいるが、富士山の頭をしっかり確認。
しかしちょっとヌケが良くはなさそうな様子です。
雷雨の後とはいっても局所的であって、いわゆる「雨上がり」とは違う雰囲気でしょう。
しかしまだ時間は早い、この後の展開に期待しましょう。
月は比較的大きいものの、夜の撮影は基本的に数分以上のバルブ撮影。
ずっと起きているわけではなく、シャッターを仕掛けたら再び寝る、というような繰り返し。
夜中に気づくと、何やらお隣のテントの方もカメラをセットして撮影している様子。
「頑張ってますねぇ」と言われ少々の会話。
2時0分撮影。ひょろっと雲が湧いています。飛行機雲の名残か。
しかし上空の湿度が高そうなのも事実。
このような雲が朝に少しでも残ってくれれば、朝焼けして良い写真が撮れるかも!
ところが期待も虚しく、空はピーカンになってしまった…。
北岳山荘のテント場は十分な展望があるものの、
昨日の登山道と比べるとわずかに下方向の草木が気になるため、
今朝もカメラを担いで少々登山道を歩くことに。
昨日の場所とは違うが、ちょっと開けてゆったり撮れそうなポイントまで移動しました。
3時31分撮影。オリオン座がジワリジワリと昇ってきた。
今回は暇つぶしに?とソフトフィルタも持参したので、ソフトフィルタ使用バージョンも撮影。
使い方はちょっとある工夫してみたが、山並みも少しぼやけてしまいあまり好きな描写ではない…。 過去の使用でソフトフィルタの表面を傷つけてしまっているのも、描写に悪影響を及ぼしているかもしれない。
3時58分。
今回は唯一1本だけ105mm単焦点レンズを持参したのが最も望遠。
夜明けのバルブ撮影は、サイズの合うPLフィルタがなかったので、バルブ3分でPLフィルタを手持ちなど厄介な撮影をしました…。
今日の状況を考察すると、まず月が背後にあるため富士山の表情や大沢崩れが見えるのがgood。
霞は夜のうちに比較的落ち着いて、ヌケはある程度回復したように見えます。
昨日よりも高めのガス層で、「雲海」と言えるほどハッキリした雲海ではない。
富士山を横切るように横筋の模様が入っているが、
これも霞の層の一種と思われる。
パッと見、富士山の上部が白く冠雪しているようにも見え、
「フェイク冠雪」と命名してみました。
この現象は高所では比較的よく見られるもので、秋ごろに見ると本当の冠雪と勘違いすることも。
さて、いよいよ夜明けの色づきがあり、一番綺麗な時間でしょうか。
4時36分撮影。今回もハーフNDフィルタ活躍です。
うーん残念ながら今日もピーカンの朝。朝焼けなし。
もう少し雲が欲しいのがカメラマン心理。
しかし雲海の質感、雰囲気が昨日とはまるで違うのでこれもアリでしょう。
ちょっとは変化が楽しめました。
雲がないので時間の経過に伴う変化には乏しく、少々退屈です。
こういう平凡なシチュエーションの時ほど、何か工夫をしなければいけないのでは!?
どこか駆り立てられるように、違う撮り方を考えることにしました。
すると目についたのは手前のあった岩。
これを入れて南アルプスっぽさを表現しようか。
どうだ。
う~ん、どうもわざとらしい写真な気がして、下手クソですね。
この手の写真は本当に苦手です。
ファインダーで覗いた感覚と仕上がりの感覚にもズレが。
それからはハーフND4を使いましたが、2で良かったかもしれません。
さて、そうこうしているうちに朝日が昇って。
4時56分、今日も染まる中白根山・間ノ岳方面。
4時57分、八本歯の頭付近から日の出です。
光が差してきました。
5時5分、染まるガス状雲海。
ここからは展開が早い。
5時16分、黄金に輝く空。 やはりある程度高くまでは霞んでいる様子。富士山もしっかり縞模様。
昨日のようなモコモコした良い雲海は見られなかったが、
霞に浮かぶ山並みと富士山、朝の光はまた素晴らしい光景と言えるでしょう。
それにしてもこの微妙な角度からの日の出は、
ハレ切りは必須だしPLフィルタ/ハーフNDフィルタの使い方も難しいし、
けっこうカメラマン泣かせですね。
良く晴れたピーカンだったからこそ余計に難しいかも。
今度は曇り空で撮りたいものですが、いつになるか…。
さて今日は移動日となるので、あまりのんびりしてはいられない。
テントまで戻ると、朝食は北岳山荘のカップヌードル!
お湯は無料で使えて300円です。
正直、安い…。
持参しているフリーズドライのご飯は400円するものもあるし、
この他に水、ガスも使うわけで。
カップラーメン300円なんて激安です。
食堂も人が少なくなり使用して良いとのことだったので、食堂にて朝食。
食堂の窓から雲海に浮かぶ富士山が見えてなんとも素敵だった。
食べ終わった後ですが、この容器、あとで使うため捨てずに記念撮影。
あ、そうそう、ご紹介遅れましたがこちら(右)が私の新居、エスパース・ソロXでございます。
iPhoneで撮影。
こちらはデジカメでも一応撮影。
北岳をバックに。昨日の雨で濡れていたので日差しで乾かしていました。 それにしても、仮に撤収時が雨だとすると非常に萎えそうですな…。びしょ濡れのテントをザックにしまうんですから。
ちょっとお遊び半分にナナカマドの新緑と富士山を撮影。
またいやらしい斜光で非常に撮りづらい。
また、この時間になるとハエがぶんぶん飛び回っていて写り込んできます。
さて!
もう完全に人々は散ってまばらな時間でしたが、私も出発せねば。
散らかったテントを片付けて、再びザックの中に全てを収める。
あれだけ散らかっていたものが1つにまとまってしまう不思議。
マットから寝袋、カメラやレンズ、食料、水、このテントもポールも、三脚まで1つに。
ある意味登山の装備ってすごいなと。
最後に北岳山荘で水を補充させていただき、出発の撮影。(写真右が水場)
7時7分とは、山歩きとしては本当に遅い。
ちなみに、本来「縦走」と言えば山々のピークを渡り歩くことであろうが、
今回はまさかの?北岳山頂をパス。
北岳山荘にいる場合、間ノ岳と北岳山頂は真逆の方向になるので、往復3時間程度のピストンが必要となります。
よほど時間・体力に時間があれば良いですが、今回は北岳山頂は踏破しないプランとしました。
あくまで自分はカメラマン、写真のほうが優先ということで。
残念ながら、笹山まで縦走が成功したとしても北岳山頂を踏んでいない!というダサい記録が残ります(笑)
ということで目指すは間ノ岳。
山荘から一段上に上がると、綺麗に仙丈ヶ岳が見えた。あそこにもいつか行かねばならぬ。
間ノ岳方面を見上げるが、見えているのは中白根山。
間ノ岳はもうちょっと奥にあるので見えない。
北岳山荘と富士山。
せっかくならデジカメでちゃんと撮っておきたい気もしたが、もうカメラはしっかりザックの中なので断念。
道は人通りも多く、問題なく安全に歩けそう。
ハイマツ、岩場、富士山。どこか新鮮に思うとついついiPhoneカメラを起動。
雄大な山容を望みながら晴天の山歩き。少々暑いが、気分は良い!
と、ここで見える山並みに萌えてしまって、いきなりザックを下ろして撮影開始。
右の斜面、ちょっち見える岩場が気に入った。
ザックの容量にやや余裕があるため、多少奥に詰めたカメラを取り出すのも思ったより苦ではなかった。
あまりカメラを上に詰めると重量バランスが悪くなるためそうするわけにもいかないが、
この程度なら、必要なときにその都度カメラを取り出すのも悪くないかなと。
この先、気になった風景があればその都度ザックを下ろして、カメラを取り出して、撮影、
というような流れで歩いて行くことになります。
ちなみに、さすがに三脚は使わず手持ち。
PLフィルタは明るいものを使用し、ISO200を基本とすればほとんどブレに困ることはありません。
引き続き登ります。
道中の面白い岩。登山道は緩やかで非常に歩きやすい道です。
そうだ、北岳を撮っておかねば!
こちらが中白根山付近、南方向から見る北岳。
鋭い山容が特徴的で、コル部分に赤い屋根の北岳山荘。
あっという間に登ってきたものです。
途中、屈強な4人程度の男性グループが追い抜いていったと思ったら、
何やら登山道で大掛かりな三脚やカメラをセッティングしている。
荷物には「北岳山荘」と書いてあったので山荘のスタッフのようだ。
何を撮っているのか?と思ったら登山道脇に雷鳥がいたようだ。
しかし遠くにいてよく見えない。
雷鳥のためにわざわざカメラを出すのも面倒で、覗きこんでみるとなんとかその姿を発見。
iPhoneで目一杯ズームしてみたが、何が写っているのかサッパリである。
かろうじて頭が小さく写っていますが… 私の初めての雷鳥との出会いでした。
のんびりでしたが中白根山(3055m)に到着!
7時52分。気軽で楽しい山歩きですね。 背後は仙丈ヶ岳。
残念ながらここで富士山の手前に雲の塊が。富士山見えず!
ここからは右の山が少々視野を邪魔しますね。
北岳方向を改めて眺める。すごい山容だ!
これが白峰三山の迫力、北岳は南アルプスの最高峰で富士山に次ぐ日本で2番目に高い場所。
感動しますね。
結局富士山は姿を現さぬまま、あまりゆっくりしてもしょうがないので進みます。
中白根山~間ノ岳の間にも、何やら標識がある。
ちなみにピークではないようですが。
ようやく見えた、あれが間ノ岳か!
もう少し進むと山並みの面白いポイントを発見。
開けていてGoodな眺めであります。先日、初夏の雪渓が残る写真を見たのはここであろう。 デジカメでも撮ってみたがヌケと光線が厳しく、マトモな写真にならなかった。
いざ進め、あとは間ノ岳まで一直線。
来た道を振り返った。このような道。北岳はガスの向こう。
間ノ岳に着きました! 9時5分に到着なので、北岳山荘を出発してから約2時間。
途中で撮影もしていたのでこんなもんでしょう。
間ノ岳の標高は、2014年の改定で3190mとなって、日本で第3位の標高に並びました。
なので去年からちょっと人気が出ているようです。
標識はまだ3189mのままですね。
これまでは余裕がなく来れなかった間ノ岳への初登頂です。
今回は北岳山頂を踏まなかったので、私が今回歩いたルートの中では最高標高の場所となりました。
またこの時はまったく知らなかったものの、間ノ岳は静岡県最北端の地でもあります!
静岡の北部はほぼ南アルプス山域であり、細々と伸びた静岡の領域の先端がここです。
⇒Googleマップで静岡県の範囲を確認
また、間ノ岳のすぐ西側にある三峰岳(みぶだけ、2999m)はその名の通り、
山梨、長野、静岡の3県の県境となる山でした。
ここから先、歩いて行く笹山までの稜線は、ずーっと山梨/静岡の県境となります。
この時間、残念ながらガスも本格的に上がってきて、富士山の展望はありませんでした。
どういう眺めになるか確かめたかったのですが~。
山頂には休憩している人も多く、少々の会話などをして。
今度は農鳥小屋を目指して下山です。
間ノ岳を踏むと、北岳へ戻っていく人も多いため、
ここから先はグッと人が減ります。
山頂で休憩していた外国人の単独女性を追い抜いて降下開始。
ノウトリ… ダイイング・メッセージでしょうか。
標識もあったよ。
間ノ岳の山頂はややだだっ広く、ガスられてしまうと方向感覚が分からなくなりそう。
夜間や悪天時は標識を慎重に探して進みたいですね。
間ノ岳から農鳥小屋への道は、白っぽい岩場の道。
この様なゴロゴロ岩を歩いていきます。北側とは雰囲気がちょっと違いますね。
しばらく行くと農鳥小屋もハッキリ見えてきました。赤い屋根がいいね。 そして噂通り、農鳥岳方面への登り返しは辛そうだが…
南側から見上げる間ノ岳の斜面。
本当に一面に岩がゴロゴロした独特の山容です。物珍しい。
そして今回、裏ワザを思いついたんですが。
iPhoneカメラで広角側にズームしたい場合、縦にしてパノラマ撮影し、パノラマを途中で中止すると
好みのアスペクト比で広角撮影ができます!
パノラマ撮影中に逆方向にスイングするとパノラマを好きなところで中止できます。
まさかiPhoneで広角側を拡充する裏技があったとは目からウロコでした。
良い技を思いついた。
農鳥小屋もすぐ近くまで近づいてきた。
三国平方面への分岐。こっちの山域はちょっと良くわかりません。 山って、自分が歩くルート以外は全く眼中にないことがありますよね。
到着しました!農鳥小屋と西農鳥岳です。
10時23分。
全く急いではいません。時間はたっぷり、山の空気を楽しむのんびりトレッキングです。
間ノ岳から1時間ちょっと、北岳山荘からは3時間15分ほどで到着しました。
昨日は北岳山荘にステイしたこともあり、体力的には全く問題なし。
軽い散歩気分で到着することができました。
農鳥小屋から見上げる間ノ岳、素晴らしい山容。
今日のうちにもう少し歩いても良いような気分ですが、
ここから農鳥岳となると2時間も掛かるし、この先には公式なテント場なし。
やはり無難にテント場でテン泊するのが常識的でしょう。
今日も午後の雷雨があるかもしれないし。
早立ち早着きが山の基本ですね。(急に真面目になった)
さて、この農鳥小屋には名物オヤジがいて、どうも評判が悪いようなのですが。
私もちらっと噂を耳にしていましたが、どんなものか。
受付を探しているとデカイ声で話しているオヤジの声が聞こえてきて、
すぐに雰囲気を察しました。
一瞬にして状況は飲み込んだ気がしました。これから起こることは、想定の範囲内。
さっそくオヤジに声をかけてテントの受付をすることに。
たまたま近くにいた単独登山者と一緒になってしまい、
「2人かい?」と聞かれたので「2人ですよ~」と答えてしまったのが間違い。
結局それぞれが単独の別行動だとわかると、「正しく伝えなさい」とこっぴどく怒られました。
それからテント場など諸々の説明を受ける。
もう何百回、何千回と言ってきたセリフだろう、丁寧に説明してくれるオヤジ。
声がデカイ。
「現在、水場は使えまえん。その代わり水1Lは無料でさしあげます」と言う。
「その水は飲めますか?」と念の為に確認すると、
「アァ?飲めねぇ水なんて売るかよォ!そんな失礼なこと言うと水やらねぇぞ!売ってもやらねぇぞォ!」と怒鳴られました。
ハイ、すみません。
なんとなく想像していた通りの展開です。
更にやりとりは続く。
外国人登山者に対して、「今夜は雷雨があるから気をつけるように」と英語で説明するオヤジ。
私も知人から雷注意報が出ているとの情報を得ていました。
オヤジの天気の勘を確認すべく、「やっぱり、今日は雷が来ますかね?」と聞いてみると、
「そんなことも知らずに山を歩いてんじゃねぇよォ!注意報が出てんだぜェ!」
もう何を言ってもボロカス言われてしまいます。
なかなかコミュニケーションが上手く取れない。
ただ、オヤジの言っていることはとても正しく、真面目だなぁという印象。
どうも評判は悪いようなのですが、私はそんなに嫌なヤツだという印象は受けませんでした。
ちょっと変わった真面目な人。
日本語が喋れない外国人登山者にも、拙い英語で必死に説明していたし、
丁寧で、真面目で、優しさのある人ではないか。
あとで飲み物を買うことになったのだが、
「あ、お金が大きいのしかないのですが大丈夫ですか」と1万円を差し出すと、
「なんだよ、大きいって100万円じゃねぇのかよ」と冗談をかましてくるオヤジ。
まあ、愛嬌のある人ってことじゃないですか。
クセはあるけど決して悪い人ではないのでは?
ちなみに後で調べてみると、農鳥オヤジおよび農鳥小屋について詳しく解説した良い記事がありましたのでご紹介します。
良くわかりますよ。
http://yama2iruyo.exblog.jp/23662253
ちなみにテント場の使用料が1000円とは高くて驚いた。
あの立派な北岳山荘ですら800円なのに…さすが個人経営といったところでしょうか。
今回はちょっと贅沢してもいいかな?と思っていて、小屋で夕食も考えていたのですが、
テン泊者には食事は提供していないようで、断られてしまいました。
ところが上の記事を読んだらこれで正解。
農鳥小屋の食事は飲み込むのも大変だとか…(^_^;)
北岳山荘の夕食をイメージしていた私が馬鹿でした。
そう、この農鳥小屋はもう本当に異次元の世界でした。
北岳山荘との落差たるや。
まず、この小屋はオヤジ一人で回しているようなのですよ。
ちょっとすごすぎです。到着した時点でそれを察して関心しました。
そしてボロボロの小屋。
小屋の外には大量の卵の殻が放置されてハエがたかっている。
犬小屋のようなトイレ。
なんと汚物は垂れ流しだ。
トイレに入れば前の人の汚物がそのまま見える。
どこの貧しい中東の国に迷い込んだか?という正にそんなイメージ。
日本ではとても味わえないような雰囲気がそこに。
いろいろと衝撃的でした。
それにしても、この農鳥小屋に着いた途端にいろいろな意味で空気が一変してしまった。
オヤジの圧倒的なオーラ、異次元の山小屋の雰囲気。
あれ、大自然を満喫していたつもりだったんだけど(^_^;)
なんだこの妙な感じ。
突然、大自然の山歩きが中断されてしまった気持ち。
決して農鳥オヤジが嫌いになったということはないが、
ちょっとこの雰囲気は大自然の魅力さえちょっと奪ってしまうかもしれない。
次回ここを通るときは、素通りするかもしれないと思いました…。
さて、今日もテントを幕営。
既に数張りの先客あり。
そして多少はガスっているもののまだ日差しが強く、今日もカンカン照り。
下界では35度を超える猛暑日が続いている状況ですが、
山の上もまさかの暑さでした。
テント内はやはり暑くて全く休憩も睡眠も厳しい状態。
テントの入り口を開放していましたが、テント内で温度計は35℃の表示。
テントの外で温度計を持っている人が言うには、外も30℃あると。
ちょっと、下界の気温ですよそれ。
ここ、標高2800mですけど!!
まったくやってられません。
ところで、オヤジが「水場はない」と言っていた意味がちょっとわからず。
「水場はどうなっているのですか?」と聞くと、「私が腕を怪我しているから施設が作れない」という回答でちょっと理解不能。
普段はどこにどう水場があるのか理解できませんでした。
地図上では「水場往復30分」とのこと。
そこまで行けば水が出ているのよね?と思うが、オヤジの「水場がない」の意味がわからないまま。
暇だし、水場探しに行ってみよう!と歩き出した。
そもそも案内標識もなく迷子になったが、南端のテント場のところから下へ行く道があった。
比較的整備されていて、間違いなくこれがそうだろう。
しばらく降りて行くと、何やら道がハッキリしなくなった。
未使用のホースが置いてあったのこの辺りに水源が?とも思ったけど水の気配がなく。
周辺には微妙な踏み跡があるけど、どれもハッキリせず、分からなくなってしまった。
強引に突き進むこともできそうだったが、
どうも踏み跡が薄くて自信がないので断念した。
結局、地図上には書かれた水場を発見できない事態となった。
オヤジの言う「水場はない」の意味がわからないままだった。
無駄に体力と汗を放出して再び灼熱の登山道を戻ってきました。
暑すぎるし、とにかく水を欲する。
今回、水を入れるペットボトルは2.5L分しか持参しなかった。
正直なところ、出発前に厳密な登山計画を立てていなかったので、ここから先が心配に。
実はそもそも、農鳥小屋から農鳥岳まで2時間近くもあると知らなかったし、
笹山までの縦走で公式な最終水場がここ農鳥小屋で、こんなに遠いということにも気づいていなかった…。
広河内岳の下にある非公式の水場の位置もよく調べておらず、
北岳にいるときにひととおりネット検索して情報を得た。
まあ山で調べても足りるは足りるんですが、ちょっと山行計画としては甘々でしたね。
ということでこの先、長期間に渡って水場がないため、最大保水量を3Lに増やすべくコーラ500mlを購入。
500mlで500円は、山では常識的な値段。
水が貴重な場所ではむしろ有り難くも思える。
さらに、水場に辿りつけなかったので、小屋で水を追加購入。
農鳥小屋では、コーラ500mlと、水合計2Lを補充させていただきました。
ところがちょっと事件も発覚しまして。
最初は汗だくで喉が渇いていて気付かなかったのですが、
この農鳥小屋で補給した水、変なニオイがするんですよ。
ポリタンクに貯めてあるものである。
「飲めねぇ水を売るかよ!」と怒鳴られたこの水なんですが。
塩素臭い…。
塩素です。プールですこれ。
というかプールの水より塩素が強いんじゃないの!?というくらい。
どんだけ消毒剤入れたんだよ!
これ、飲んで大丈夫!?
農鳥小屋の水は塩素水。
プールの水。
水場が使えないための応急処置なのかもしれませんが、
これはちょっと飲用にはかなりグレーな気がします。
煮沸すればおそらく塩素は抜けるか?
少なくとも煮沸してから食事などに使う方が賢明でしょう…
はぁ、いろいろとあって時間が過ぎていきます。
退屈なような、そうでもないような。
今日も昼ごろからガスって、少しだけ涼しく。
そして14時頃、また早い時間の雷雨が来ました。
昨日は非常に激しい雷雨となりましたが、
農鳥オヤジは「昨日の雷雨は子供だまし。今日はもっと凄いのが来る」と言って脅かしたそうです。
脅かされたテン泊者が、一度は幕営したテントを撤収して小屋泊に切り替えました。
しかしこれ、農鳥オヤジの常套手段のようで。
小屋代を巻き上げるためにそんなことを言うとか言わないとか。
やっぱ、悪い人なでんすかね(笑)
結局なんと、激しい雷雨は来なかった!
少し雷と雨はありましたが、15時くらいには晴れ間が出て、それ以降は安定しました。
今日はセーフですね。
昨日が本当にひどかった。
西陽が射す西農鳥岳。
晴れ間が出ると15時でもまだ暑いくらい。
まだ寝るにも早いだろうか?
暑さに起こされてしまったので、カップヌードルで夕食とする。
ここまで、おにぎりや菓子パンで過ごしてきたので、
初めてのガス着火。
ところがなかなか点火できないトラブルがありずっとカチカチしてました。
こんなき、ライターがないとダメなんですよ(T_T)
忘れ物してしまった…。
隣のテントの人がタバコを吸っていたのでなんとかなるとは思ったものの、
根気よく着火しているとついに着火して事なきを得た。
湿気に弱いのだろうか。この先の縦走もちょっと心配ではある。
カップヌードルは小さく包まれたリフィルを持参。
北岳山荘で食べたカップヌードルの空き容器を活用。
そういえば、箸も持ってなかったので使用済み割り箸を再利用。
食事も終わってあたりをフラフラしていると、
周囲にテントを張っていた方々とお喋りが始まり、和やかな時間を過ごします。
私のこのサイトのこともお教えしました。
さあ、あれから10日、この記事を読んでくれているでしょうか?
西陽に照らされる農鳥岳の稜線、そして富士山も顔を出しました。
ここから富士山が見えるとは知らなかった!
エスパース3兄弟。同じテントが近くに揃ってました。一番富士山に近いのが私。
天気も不安定だし早々に寝ようと思っていたものの、なんだか晴れてきたので動き出す。
一応、夕焼けを期待して三脚とカメラをスタンバイしました。
少しでも稜線を外そうかと、テント場からヘリポートまで移動してきましたが、
やっぱり右に稜線が入ってしまうし、大展望というわけにはいきません。
上空に良い雲が出ている。
これが夕焼けすれば。
もしくは、明日もこの雲が残っていると良いですが…。
夕焼けはダメそうか…。もう曇ってきたし。
ふと後ろを振り返ると、吊るし雲発見!!
どこの吊るし雲だろうか。
空は南風か?
位置的には、塩見岳の吊るし雲が疑われます。 この雲はあっという間に形を崩しました。
日没方向は積乱雲で荒れ気味。雷も光っていた。
富士山方向は、夕焼けとも言えないような非常に地味なシチュエーションで撃沈。
なんとなく夕焼けに染まった頃には、富士山はうっすら闇に消えていました。
これにて本日の日程は終了!
日が沈むとようやく暑さから解放されて安眠することができます。
ただし、ちょっと今日は”夜更かし”が過ぎたか。
というのも、明日は早起きになりそうだから。
撮影の観点では、ここで朝を迎えるのはNG。
どう考えても農鳥岳山頂で撮影するのがベターです。
テント場から農鳥岳までは2時間弱のコースタイム。
「ちょっと撮影して戻ってくる」というには長すぎる距離で、
これは必然的に、夜中の撤収、出発、そしてナイトハイクして未明の到着というスケジュールにするしかありません。
下界にいるときはここまでプランを立てていませんでしたが、上で決定したプラン。
ちょっと自由すぎましたね。
ということで、深夜から農鳥岳で撮影すべく、0時前後には起きてテントを撤収する予定とします。
見るからに険しそうな農鳥岳をナイトハイクするのは少々怖いですが、危険だと聞いたこともないし大丈夫でしょう。
明日も楽しみ!おやすみなさい。
4日目の山行記へ続く。
Posted at 2015.08.13
Updated at 2015.08.19