8/2 4泊5日南アルプス白峰大縦走[初日・北岳へ]

北岳・八本歯のコルより雲海と富士山の写真
『 月夜の激流 』
Nikon D800E / Nikon AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

人生で初めて、山の上に5日間も滞在。
人生で初めてのテント泊。

今回の旅の計画および全容は、ダイジェスト編をご覧ください。

こちらは全5日の行程のうちの初日の撮影記となります。
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以前から頭に描いていた南アルプス縦走。

山小屋に2週間ほど長期滞在しながら撮影を行う大山行男氏への憧れもあり、
南アルプスに1日や2日ではなく長期滞在してみたいという願望がありました。

しかし同じ場所に何日も滞在する苦痛もわかっていたので、
今回は山歩きも兼ねて、撮影を行うこととします。

笹山という山を以前に見つけて気になっていましたが、
北岳~農鳥岳、そして農鳥岳~笹山へ縦走しても、
奈良田の駐車場を起点に回ることができるとわかったのがポイントでした。

いつしか他の方のこのルートの縦走記録をインターネットで読んで、ついに決行に移す時がきました。


出発の日付はとくに決めていなかったものの、
とにかく連続して天気が落ち着いている日を選ぼうと思いました。

ドラマはないかもしれまえせんが、長期間山を歩くのであれば、天気は安定しているほうが良いです。

例年、8月は太平洋高気圧の影響で晴れが続く期間があり、
これを狙っていました。

梅雨明けしてからずっと天気予報を見ていましたが、
雨マークがところどころに入っておりなかなか安定とはいきません。
8月に入るとついに安定した晴れの連続を見つけたので、
いよいよ出発のタイミングを迎えました。

今回はちょうど企業カレンダーの仕事の依頼が舞い込んでいるタイミングで、
出発を8月2日にするか3日にするか悩ましいところだったのですが、
徹夜で仕事を片付けて、朝方に解放。

今から出発すれば2日スタートにもなんとか間に合う!
ということで8月2日がスタートの日となりました。
この決断が、結果的には雷雨を回避するラッキーな選択となりました。
また、写真的にも―。


朝5時くらいまで作業をしていて、出発は朝の7時頃となりました。

いつも北岳へ登るときは芦安から入っていましたが、
今回は縦走コースのゴールが奈良田となるため、初の奈良田へ向かいます。

途中で食料の買い出しをして、下道で神奈川自宅から奈良田へ。
早川町の奈良田は、本栖湖から山道を下りて、有名な七面山の登山口入り口を過ぎて、
更に山奥へ進んでいったところ。

カーブは多いがアップダウンは少なく、意外と気持よく走ることができます。
それにしても崖のような急激な斜面に道路が作られていて、トンネルや橋も多数…。
中には危険なため付け替えられたような道路も。

こんな激しい山の中に、人間はよくも道路を作ったものだと感心します…。
同時に、ちょっと萌えます。


奈良田から先はマイカー規制という看板が随所にあります。
奈良田から先はマイカー規制という看板が随所にあります。

山間部を流れる川の迫力。左側が南アルプスである!
山間部を流れる川の迫力。左側が南アルプスである!


いかにも山奥だなぁ、という景観に圧倒されつつ、奈良田に到着です。

これが奈良田湖。この吊橋はおそらく無事に縦走が成功すれば最後に渡って戻ってくる吊り橋でしょう!
奈良田湖と吊り橋


すぐ先に駐車場のようなエリアがあったが、様子見がてらその先に車を進めてみます。
これはバスの待合所。
奈良田のバス待合所


先に広い駐車場があった。
ここでバスに乗ることができるらしいので、こちらに駐車することにしました。広くて100台くらい停められそうです。
奈良田駐車場


この時、時間はまだ11時半。
バスは時刻表によれば13時半過ぎまでありあません。

実は、自宅から奈良田まで時間が掛かった場合は15時22分のバスに乗る予定でした。
しかし思ったよりもスムーズに到着することができ、予定より早くバスに乗れそうです。
なかなか遠い距離になるため、自宅から登山口までの所要時間も曖昧です。

芦安のようにタクシーが運行している様子もなさそうで、
11時半からおよそ2時間もバスがない状態となりますが、
登山のパッキングはしていないため、この2時間でしっかり準備をしたいところ。

今回は、先日購入した110Lの大型ザックの本格デビューとなります。
2回ほど1時間程度の軽い山登りはしましたが、
長距離の登山では初めての使用となります。

4泊5日ともなればこれくらいの容量はあって当然です。
このザックに初めて、数日分の大掛かりな装備を詰め込んでいきます。

前提として、カメラマンは一般登山者より装備が多くなるということが言えます。
カメラやレンズは場所を取るし、夜間に撮影するため防寒着も多く必要。

今回はこの110Lザック内に就寝時に使うマットを丸めて入れて、
その内側に必要装備を詰めていきます。

マットをザックの内壁のように入れる方式は、容量を一気に食いますが、
外側でマットがかさばることもなく、とくにカメラなど繊細なものを入れる場合は、
転倒時などのクッションとなってくれるため非常に良いです!

事前に用意していたチェックリストに従って、忘れ物のないようにパッキングしていきます。
歯ブラシなど地味だけど重要なものを漏らさないように準備します。
レンズは重くならないようにどうしようか?単焦点レンズを何本持って行こうか。
食料は基本的には山小屋に頼らないつもりでおよそ4日分。
ガスバーナーや水分、お菓子類、防寒着に…

山は、忘れ物をすると取りに戻ることはできません。
慎重に必要な荷物を詰めていきます。

おっと、日焼け止めクリームもやはりないと困るだろう。
少し重いけど持っていくことにする。

カメラの予備電池、ヘッドライト、乾電池、
レリーズ、SDカードの予備、トイレットペーパー…
ひとつでも忘れると危険なものばかりです。

そしてじっくり時間を掛けて荷物を詰め終わった。
パッキングが終わったザック
こちらがそのザック。
110Lとはいうもののあっという間に満タンに。

ただし、今まで使っていたザックは55Lであり、容量はちょうど2倍になりました。

普段、フィルム&デジタルでカメラを2台、それに伴いレンズや三脚も2台分となるのですが、
今回は縦走がメインのためデジタル一台にて挑むこととします。

この内容+フィルムカメラとなったら、あっという間に限界容量に達してしまいそうです。
カメラマンはやはり装備が多い…。

そして今回、重量計を購入していたので、ザックの重量を計測してみました。
片手で持ち上げて片手で写真を撮るので辛かったですが…

その値は20kgを超えました!
ザックの重さを計測

やはり、縦走となればカメラ1台でもこの程度は仕方ないか。
それでも、自分がどれだけの荷物を背負って歩くのかという参考数値が出てくるのはわかりやすくて良いことです。
皆様も重量計の導入、オススメしますよ。

背負った感じでは、20kgというのは、今までのちょっと重たい装備よりも少し軽いような印象でした。
三脚2本でフィルム&デジタルを持参した先日の鳳凰三山よりも軽く感じました。
実は私は、今までかなり重い重量を背負っていたのかもしれません。(25kgくらい?)

これでも、頑張ればもう少し詰めることができそうな雰囲気。
秋~冬には、もっと重い装備でどこかへ登ることになるかもしれません。


さて着替えなどもして過ごしていると、2時間はあっという間。
パッキングは忘れ物をすると危ないのでゆっくりでちょうど良いです。

そうこうしているうちに雨が降ってきました…!

ヤバイ。この時期特有の夕立でしょうか。

程なくして13時半のバスが到着して、乗り込みました。
まさか雨の中を登ることになってしまうのか…


バスは非常に空いていて、10名も乗っていない状態です。
バス内の雰囲気をちょっとだけ。
奈良田から広河原へのバス内部

着席してからバスガイドさん?が料金を徴収しにきました。
バス料金は”利用者協力金”の100円を含めて片道1130円、
今回は縦走予定なので帰りのバス代が掛からないというメリットも嬉しい!!

奈良田~広河原の山間部の道路は非常に狭くて脆そうで、
夜叉神~広河原の道に比べても更に狭い雰囲気。
すれ違いも難しく、マイカーが入ってはいけないのが良くわかります。

川を挟んで向こう側が夜叉神~広河原へと続く道路。
たまに見え隠れしますが、やっぱりすごいところを走っています。

そして出発からおよそ45分で広河原に到着。
以前はバスで立ちっぱなしだったこともあったので、ゆっくり座って乗れたことは嬉しい。

広河原に到着すると、雨は上がっていました!ラッキー。
こちらが野呂川広河原インフォメーションセンター。
野呂川広河原インフォメーションセンター

この近くのT字路にある休憩所の水場らしきところは水が枯れていたが、
少し道路に入ったところでパイプから水が出ている。
ここの水は、たぶん飲めます…。
少し手ですくって水を飲んでから、せかせかと出発。

広河原からは北岳の山頂が見えます。
しかし現在は、曇っている様子…
広河原から見上げる北岳は曇り

吊り橋を渡って出発しますよ。
広河原の吊り橋

吊り橋からインフォメーションセンターを眺める。
広河原の吊り橋からインフォメーションセンターを望む

さて広河原山荘に到着して、ここから登って行きましょう!
広河原山荘の標識(北岳登山口)

出発は14時34分となりました。

※通常はこの時間から出発する人はいません。
山のセオリーから言えば、もう山小屋に到着して一日を終える時間であります。
この時間からの行動は危険も伴い、完全自己責任となりますので参考にしないでください。


今回は気分的な問題で、白根御池小屋を目指すルートを取ります。
不規則な沢歩きより、淡々と土の地面の登りたいという気持ち。

白根御池小屋の水は冷たくて美味しいし。
水には一応余裕があると思うものの、念のため水場を経由できるのは安心です。
その分、少し遠回りになります。


広河原から20分ほど軽く登って、14時53分に分岐。
大樺沢/白根御池小屋の分岐
こちらの分岐はしっかり看板があるものの分岐だと気付きづらく、
大樺沢に行く予定がそのまま直進して白根御池小屋に向かってしまうケースが多いようです。
(私も以前間違えました。)

ここからは淡々と。

15時22分、第一ベンチ。
白根御池ルートの第一ベンチ

こちらのルートは木の根っ子が階段上になったところも多く、
時々ハシゴも登場するやや急登ルートです。
北岳・白根御池ルート

15時38分、第一ベンチと第二ベンチの中間標識。
北岳・白根御池ルートの標識

15時50分、第二ベンチの標識。ベンチには夫婦が休憩しておられました。
北岳・白根御池ルートの第二ベンチ標識

急登を登り切ると、今度は横へトラバース気味に歩くルートに変わります。
ここからが意外と長かった…。
北岳・白根御池ルート

ガスっているけど、木の隙間から見える鳳凰三山。
天気はまずまず悪くなさそうです!
北岳・白根御池ルートから見える鳳凰三山

沢を渡るための小さな橋は印象的。
冷たい水、しぶき、音に癒やされますね。
北岳・白根御池ルートの沢を渡る橋

16時31分、赤茶色の白根御池小屋が見えました!到着~!!
白根御池小屋
ここまで広河原から2時間だったので、割りと早めのペースでした。
体力がついたのかもしれませんが、20kgのザックはさほど重さを感じません。

小屋の前には数十人の人がワイワイと、食事をしたりビールを飲んだり楽しんでいます。
私は一人、まだまだこれから登りますが…。

ここで水場のご紹介。
綺麗なシンク、そして水道の蛇口方式です。
白根御池小屋の水場

「美味しい南アルプスの天然水をどうぞ」とのこと。
白根御池小屋の水道
おそらく付近から湧いている水が無限に供給されていると思われます。
冷たくて美味しく、無料です。

あざーっす!
白根御池小屋の水場

そしてあまりのんびりもしていられない。
すぐに再出発の準備です。

こちらは小屋の前の池。これが「白根御池小屋」の名前の由来でしょう
白根御池小屋の池

北岳を見上げると、まずまず晴れていて調子が良さそうです!
雨に降られなくて良かった~。
白根御池小屋から見上げる北岳

テント場付近にある白根御池畔の分岐。
ここから奥へ入ると草スベリルートです。
北岳・白根御池畔の分岐案内
しかし今回は二俣を目指します。

草スベリルートを取ると、北岳肩の小屋へ向かってしまいます。
今回は北岳山荘を目指すため、トラバース気味に大樺沢の上部へ移動です。
出発は16時43分。休憩およそ10分でした。

二俣へ向かう道中には黄色い花が賑やかに咲いていました。
本当は、肩の小屋方面を目指すともっとお花畑が綺麗なのですが、その直下の位置ですね。
北岳登山道の花

17時5分、二俣に到着。チップ制トイレが見えました。臭いです。
北岳登山道・二俣のトイレ

雪渓がわずかに残っている様子。
一番凹んでいる部分が八本歯のコル、あそこを目指します。
北岳登山道・二俣から見上げる八本歯のコル

逆に下方を覗くと、鳳凰三山がとても綺麗。
北岳登山道・二俣から見る鳳凰三山

初夏の時期だとまだ雪渓も多くあるはずですが、もう雪も溶けてすっかり夏道の登山道を行きます。
もちろん、右俣ではなく左俣ルートを選んで八本歯のコルを目指します。
北岳・左俣登山道

登っていくと雪渓が増えてきました。
残雪が多い時期は要アイゼンとなります。
北岳登山道・左俣の雪渓
下山時に雪渓の上を下りた足跡もありますが、
踏み抜いて1mくらい下の岩場に落下する可能性もあるので怖いです。落ちたら大怪我ですね。

ほら、怖いでしょ。
北岳左俣登山道の雪渓

小さな沢渡りもあります。
見上げる北岳山頂直下・バットレスの迫力。何度見てもすごいバットレス。
北岳左俣登山道から見上げるバットレス

少し霞んでいるものの、徐々に鳳凰三山が西陽に照らされて美しい。
この辺りからペースが極端に落ちてしまい、鳳凰三山を眺めながらゆっくり登ります。
北岳左俣登山道から望む鳳凰三山

もう夕暮れで、あたりには誰一人としていません。
白根御池小屋から先、誰にも会うことはありませんでした。

18時22分、だいぶ時間が掛かりましたが大樺沢上部の標識に到着。
北岳左俣登山道の標識
お腹も空いたので軽く食事。

鳳凰三山に最後の残照。
北岳登山道から望む鳳凰三山

いよいよ日が沈み、暗闇登山へと突入します。
ここまで来てしまえばいよいよ森林限界も近づいて、日が沈んでも多少は明るいかと。
今宵は、月明かりも期待できるし。

18時33分に再出発し、もう少し登ったらいよいよ核心部?のハシゴエリアに突入します。

最初のハシゴに辿り着いたのが18時55分、地味に遠かった。
北岳八本歯のコル直下のハシゴ

ここから20本近くはあろうかというハシゴの連続。
疲れも溜まっていたが、ある意味手足を両方使って登れるので楽か。
ここにくると20kgの荷物も重くのしかかり、腕にもかなりの負担が来ました。

そして登り切った!暗闇をたったひとりの大冒険。
八本歯のコルに到着したのは19時26分、ハシゴに取り付いてから30分ほどですね。
北岳・八本歯のコルの標識

あたりはもうすっかり暗闇かと思っていましたが、八本歯のコルから北岳山荘の鞍部ごしにまだ残る夕焼けを確認!
わずかな残照に少し感動。夕焼けも綺麗だ。鞍部に光るのが北岳山荘の明かり。
北岳の夕暮れ

さてここから標識によれば北岳山荘まで1時間20分。
ここからは本格的な真っ暗闇ですが、行けないことはないでしょう。
慎重に出発。

登っていくと、甲府盆地の北部のほうに大きな入道雲、そして雷が光っている…

以前も遠くで光る雷を見たことがあり、さほど恐れることはなかったが…

登っていくうちに、どうも雷が近づいてくるのです。
すっかり鳳凰三山の真上で光っている。
もし、今日鳳凰三山に登山していたら超危険だったかもしれない!

更に北から冷たい風が吹いているようで、
甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳あたりにも迫っている様子。
ついには北岳山頂の裏、北岳肩の小屋あたりまで雷は近づいているように見える!

音はほとんどせず光っているだけなのですが、
さすがに人間が目立つところにいると雷にも狙われそうだと思い、少し身の危険を感じる。
雨には降られなかったが、やはりこの程度の雷はあり得ることだ!

ということで、進みたい気持ちを抑えて岩陰に避難することに。
ヘタすると、朝までここで待機ということになるかもしれない。
場所を選べば緊急的にテントを幕営することもできるかもしれないが、
雨もないし寝袋一つのビバークで大丈夫だろうという気がする。

雷に少々ビビっていたのですが、実はこのとき富士山はよく見える!
薄いガス状の雲海が平らに広がっており、ポコっと浮かぶ富士山。
夏の高山ではよく見られる光景である。
今年もこの姿を見ることができた…(^^)

積乱雲に光る雷、せっかくだから写真で撮ってみようとも考えたのですが、
三脚なんて立てたら雷を誘導するし、ちょっと命の危険がある状況では愚かかなと。
グッと我慢して雷の撮影は断念。

また残念なことに、富士山は右方向、雷は左方向で一緒に撮ることも難しそうでした。

すると、雲の上で不思議な現象を目にします。
何か地上のほうで赤い光がポーッと灯った様子。

真っ赤で、強烈な光です。

それを眺めていると、何やら真っ赤な光はどんどん大きくなる!
ぽわ―っと。真っ赤なんです。

地上で何が起きている!?見たこともない赤い光。
どんどん大きくなる。

想像を絶する、未知の現象が目の前に見える。
冷静になって、これはなんだろう!?と考える。

位置的には…あのあたりは浅間山だろうか!
浅間山が大噴火して、真っ赤に光っているのだろうか!
そう思った。
南アルプスにまで来てすごい光景を見たと!

しかし赤い光はどんどんと大きくなり、とても地上の現象にしては大きすぎるように見えた。

むむむ…一体これは…。

ある程度光が大きくなったところで、ついに気付いた。

「これは月だ」。

そう、月の出でした。
雲の上からじんわりと出てきました。
空気が霞んでいるため、月は炎のように真っ赤に見えました。

これは富士山と絡めて撮ることができそうなので、
多少の危険を覚悟してカメラをセット、ひとまず撮影です。
こちらはテストショットの撮って出し。
南アルプス北岳から見る月の出と富士山

月が高くなる前に、すかさず適切な設定で本番撮影。
どうでしょう、こんな一枚が撮れました。
北岳から望む月の出と富士山
左側で頻繁に雷が光っており、補助光となりました。
通常の月光撮影に比べて、だいぶ明るかったと思います。

雷が近づくとともに、上空の不安定な空気が近くまで迫ってきます。
どうやら北から冷たい風が入って、次々と南側の上空をかき乱しているようす。

左から積乱雲のような大きな雲の塊が流れてきます。

ただしこれはシャッターチャンス!
広角に望遠に、設定を決めてシャッターしていきます。
雲の動きが早いので、どれもワンカットしか撮れないであろう貴重なシーンとなるはず。

まずは広角、暴れる雲の先に富士山。そして月、手前には岩場を入れて。
北岳から大雲海と月光の富士山

そして望遠でも。
テキパキレンズ交換して、撮影は必死!
北岳から望む月光の富士山

撮っているうちにあっという間に雲は増え、ちょっと写真栄えしない状況になってしまった。
ここが撮影を切り上げるタイミング。

空気が不安定になるのは寒気が入り込んで冷えるタイミングなので、
一度冷えてしまうと割りと安定する。

このまま朝かとも思いましたが、雷もだいぶ落ち着いてきたように見えたので、
再びパッキングをし直して月光の登山道を再出発することに。
せめて北岳山荘には到着したい。
このとき最後に撮影した写真の時刻は21時31分であった。

21時50分、トラバース道分岐。
北岳トラバース道分岐の標識

さて、もうすっかり日も沈んで急ぐ必要もない。
少々危険なトラバース道に入り、ゆっくりと慎重に進みます。

このまま北岳山荘か、と思ったのですが、
再び雲海が平らに落ち着いてきて富士山がよく見える。
以前からちょっと気になっていた前景があり、再び撮影を開始することに。
もうすっかり雷も落ち着いたし遠くなり、安心しました。

これが面白い前景。
南アルプスといえどもここまで特徴的な岩場は少ないかと。
22時45分撮影。
南アルプス北岳から望む富士山
ただ、結構デカイ岩なんですが写真だと伝わりませんね(^_^;)

雲海の変化や月の位置も変化し、なかなか撮影も面白くなってきた。
ついつい撮影が長引いてしまいます。
23時11分撮影。
北岳から望む雲海と富士山

岩場の撮影は一段落したので、もう少し広いところまで移動してゆっくり富士山を撮影しようかと。
結局、まだ登山道から撮っていて北岳山荘に辿り着きません。
23時42分撮影。
南アルプス・北岳から望む雲海と富士山
すごく良い雲がやって来ました!
この雲が朝にも出てくれれば朝焼けです。期待!

しかし雲は徐々に減っていくのでした。
上空の流れる雲、雲海の量や高さ、月の位置、少しずつ変化する情景に
いっときも目が話せなくなり、登山道での撮影が続きます。

少しずつ移動して北岳山荘に近づいていくのですが、
これはもうダメだ。登山道で朝を迎えることになりそう。
2時22分、まだ登山道にいた。
北岳から望む雲海と富士山


久々の高山で楽しくなってしまったのか、眠気もこらえてひたすら撮影でした。
もう丸2日くらい、一睡もせずに…

そして午前3時半頃となると、いよいよ夏山は夜明けを迎えます。

ついに北岳山荘に到着する前に、朝が来てしまった。

撮影記2日目に続く。

この日の撮影記

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