7/10-11 初夏の鳳凰へ 今年も南アルプス山行スタート[後編]
今年最初の南アルプスへの山行記の後編です。
前編はコチラです。
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夕方に撮影して翌朝にも撮影するとなると、なかなかゆっくりしていられず体力的に厳しいところ。
特にこの夏の時期は日が沈んで暗くなり、7時間もすればもう明るくなってきます。
今回は夜景も撮影しようということで、0時頃から活動を開始です!
本当に寝てる暇もないです(^_^;)
まずは0時20分にこんな写真を撮りました。 残念ながらモクモクとした雲海は消えてしまい、甲府盆地の夜景が透けて光っています。
上層はややハッキリしないものの、富士山の頭は良く見えるしヌケは回復してきたようです。
山にいると、夜の間の気象の変化ともおのずと向き合うことになりますね。
正に大自然を感じる瞬間です。
この場所には自分一人だけ。
代わり映えのしない富士山の写真に飽きてしまい、
白峰三山にかかる天の川を撮影。1時25分。 右の高いピークが北岳。きっとあそこからも素晴らしい眺めが見えていることでしょう。
ちょうど月が昇ってきたところで、山々がちょうどいい具合に照らされ、雪景もちゃんと浮かび上がりました。
とても綺麗な天の川で感動的でしたが、残念ながら富士山と絡めることはできず。
富士山方向に向かって頭上を見上げると、ほぼ真上を通るアーチのように大空を横切っていた天の川。
ちょうど左手の方向から立ち上がり、徐々に濃くなって頭上を通過して右手の方へ連なる銀河。
その中央には富士山がそびえて見える。
もし魚眼レンズを真上に向けたらこの映像を写真に収めることができたかもしれないが、
まさかこういうシチュエーションになるとは想像していませんでした。
(撮ったとしても富士山がかなり小さくなりますが…。)
さて富士山に気を戻して。
もう正攻法での切り取りをしてもしょうがなく、新発想の縦構図。
星空を主題にした構図です。
長いのか短いのかわからない夜。
パッパと方向転換していろいろ興味本位に撮影します。
富士山方向から左に目を向けると、昇ってきた月に広がる雲海。
これは綺麗だ!と素直にシャッターを押す。 この手の雲海は高感度にしてシャッター速度を短くしたほうが表情が出やすくて良いです。
ふと谷あいに光る車のヘッドライトにも注目。
今日、青木鉱泉から登ってくる人も多いのだろう。
朝が近づくにつれてどうやら雲海が濃くなって、下の夜景が見えなくなってきた。
月も徐々に高度を上げながら富士山に近づいてくるので、無理やり広角で構図に収めて撮影。
ずっと撮り続けていたわけではないけど、このとき既に3時過ぎ。
いよいよ明るくなる時間です。
夜の間にフィルムカメラでも長時間のバルブを1カット。
あまり枚数を撮らないから、現像に出すのはいつになることやら…
それにしても、夜空の景観=飛行機の光害についてはどうしても苦言を呈したくなります。
ここ数年で深夜に飛行する旅客機が増えてしまい、日本の夜空(特に富士山上空)は
いつ空を見上げてもチカチカと飛行機が点滅しています。
せっかく大自然の中に身を置いて、雲の上にまで出ても、汚された夜空の景観。
自然のままの美しい星空を撮りたくても、必ず飛行機が写り込んでしまうような状況。
飛行機を外した写真を撮るのが難しくなっており、大変残念なことです。
カメラマン達は、日本中どこへ逃げても次々に破壊される景観に四苦八苦しています。
さて話はそれましたが、早くも朝がやって来ました。
朝と夜の狭間。何度も見た定番の夜明けではあります。
まだ残る夜景の光、明るむ空、徐々に染まる斜面。
もう少し時間が進むと、左斜面の新緑の鮮やかさが目に飛び込んできました。 昨日はどんよりしていてあまり感じませんでしたが、やはりこの新緑は撮り頃だ!
カメラと三脚を持ってもっと新緑を撮れるポイントに移動します。
…と!
ここで事故発生!
岩場を踏み外して足首を捻り、転倒(>_<)
頭から落ちましたが左手をついて逆さまに着地。
右手に持ったカメラ・三脚は高く掲げて死守(^_^;)
機材へのダメージはありませんでした。
足首をかなり強く捻ったためしばらくその場で動けなくなりましたが、
1分ほどで痛みが和らいだところですぐに立ち上がって新緑ポイントを目指します。
撮影優先!
あとは夢中で撮るのみです。
足の痛みは、忘れました。
そして濃くなる雲海、一筋の朝焼け、照らされる新緑、色づく空にそびえる富士。 今回の撮影でもっとも印象的だったシーンの一つです。
彩りが、美しかった。
やがて太陽が出て、斜面をしっかりと照らしました。
それから、光を浴びた新緑の生命力を全身で感じつつ、歩きまわって様々な構図で撮影。
とにかく撮って撮って撮りまくりました。
時間の許す限り、様々に切り取る。
1枚1枚を繊細な気持ちで。
少しポジションを変えるとこのような木があったりして、周囲をうろうろ。
少し高さを上げればまた変わった見え方になります。
微妙な違いですが、とにかく積極的にシャッターを切っていきました。
気付けば雲海の高さ、白さ、輝きも大変美しい。
昨日の夕景は期待外れでしたが、今朝は予想以上の美しさ!
これは来てよかった。
久々に撮っていて気持ちのよい光景に出会いました。
こうなってしまうと時間の経過も早いもので、日の出からすぐに2時間ほど経ってしまいました。
一瞬で時は過ぎる。
なんとこんなときに限って夕方から用事が入っているというマズイ事態(^_^;)
実は早く下りないといけないのです。
それから、雲海も思ったより綺麗で富士山も美しく見えているので、
この特徴的な稜線を外してストレートに富士山と雲海だけも、是非撮影しておきたいところです。
あまりモタモタしていてもいけない。ある程度のところで見切りをつけるのもカメラマンの腕の内。
なるべく手早く支度を済ますと、再び稜線歩いて薬師岳。
しかし途中にも魅力的な前景が幾つもあるため、欲張って撮影をしながら進みます。
前景でバリエーションをつけるならこの稜線歩きがもっとも楽しいゾーンになるでしょう。
最近、カメラからストラップを外していたので、右手にカメラをしっかり握りしめて岩場を歩いて。
片手がふさがった状態で転びでもしたらカメラも体も大ダメージというリスクの中(^_^;)
無茶してカメラ片手の稜線散歩。
おかげで、バシバシといろいろな構図で撮影できました。
例えば、来る度にいつも撮っているこういった構図。 登山道に面白いポイントが無数にあります。
さすがに面倒で三脚を使わなかったので、そこはちょっと雑ですかね。。
でもいろいろ撮れました。
寄り道の末、やっと薬師岳に到着すると再びの撮影モード。
三脚をしっかり据えてラストスパートをかけます。
定石通りに撮ればこういう感じ。
広角レンズ、望遠レンズを切り替えながらまたいろいろな構図で撮影。
もうAM7時を過ぎてすっかり日も昇り、暑い!
カンカン照りに耐えながらシャッターを押し続けます。
微妙に変化する雲海の表情、太陽高度や大気のヌケで微妙に変化する光線やコントラスト。
気持ちが繊細になるほど小さな変化も大きく感じて、キリがなくなってしまいます。
ただしこの時の撮影に関しては、たくさん撮ったことが功を奏しました。
なぜなら、目では全く見えなかった小さなハエのようなものが無数に写り込んだカットがあったから。
タイミング次第でこの”ハエ”が多いときと少ない時があり、少ない時の写真を作品として使うことになります。
夏の高山、見えないハエに注意(^_^;)
とくに、日が昇ってしばらくすると増えてくるようです。
温暖化により生息地域の標高も上がっているかもしれません。
このような繊細な雲海が出るとは前日から予想もしておらず、
北岳に行っていればもっと良い写真が撮れたかな~とまた欲張りな気持ちも。
いつか北岳でこのようなシチュエーションに出会いたいと思いました。
さて、かなり粘って撮影して、結局8時過ぎ。
深夜0時からほぼずっと撮影&歩行していたと思うとすごい体力ですよ。
途中休みもしましたが、8時間ほとんど動きっぱなし。
そしてここから下山します。
夕方に予定があるのでちょっと急ぎで…。
ここまでの暑さはちょっと想定外で、水分の消費量が多くなってしまいました。
ただでさえ2Lでは少ないとは思っていたものの、水が無くなりそう。
計画が甘かったとしか言いようがないですね。
わずかに水を残し、ここから3時間ほどで下山します。
朝に捻挫した足首はやや痛むものの、それ以上に肉体・精神的な疲労が大きくてさほど気になりません。
下山するのに多きな問題にはならないでしょう。
水もないし、予定もあるし、早く下山したい!
その一心で淡々と下山してきます。
長い道のり、体が疲労していると登りにも匹敵するほど大変なのがこの下り。
気持ちを無にして下るしかありません。
登山口まで残り1時間ほどのところで最後の水を飲み干し、あとは車に積んである水分に頼ることにします。
逆に食料は余った。
休憩時に食べて体力を補い、一気に下山!
ようやく車まで戻って安堵。
一気に水分補給して無事に山行を終えました。
脚の怪我、寝不足、肉体疲労、荷物20kgという悪条件ながらも、3時間掛からず下山した自分を褒めてあげたいです。
余談ですが、この後、一旦神奈川自宅に帰宅し、電車に乗って池袋へ。
友人たちとの集まりに参加したのですが、解散して帰宅したのはAM1時過ぎ。
結局、24時間以上活動し続けたこんな無茶は若気の至りだなと(^_^;)
いろいろな意味で思い出深い一日となりました。
~追伸~
怪我をした7月11日からおよそ2週間経って、この記事を書いているのが7月24日。
徐々に捻挫は回復してきたと思いきや、現在も足首が痛む状態で安静が必要そうです。
下山時の負担も大きかったのかもしれないです。
今後、山での怪我には気をつけましょう…。
ちなみに、転落した場所はここ。
Posted at 2015.07.24
Updated at 2015.07.24