2日連続で赤富士を撮影した翌日、3日目の赤富士狙い。
この日は山頂こそ隠れていたものの、この3日で最も強烈な朝焼けが見舞いました。
何年も富士山の撮影をしているので、素晴らしい朝焼けには幾度と無く出会ってはいるのですが、この朝は格別でした。
これほどまでに鮮やかで、強烈な朝焼けは見たことがありません。
写真でそれを伝えることができているか分かりませんが、
あまりにも鮮烈で想像を絶する輝きを見ました。
近年は大気汚染の影響なのか、長年写真をやっているカメラマンも「朝焼けが減った」などと口にします。
私が見てきた過去の作品などは、確かに近年あまり見ないような強烈な朝焼けの写真などがあります。
環境は変化し、素晴らしい光景も徐々に撮れない時代になっていくのか…
そんな不安と心配に駆られることもありました。
しかしこの日の光景は、そんな気持ちを一発で晴らしてくれるものでした。
透明感のある大気に、鮮やかな光線が射して、目の前でドラマが繰り広げられました。
今まで見てきた朝焼けとは違う。
「これが大自然の本当のなのか力か」と思いました。
想像を超えた光景でした。
大山行男氏が同じ山中湖で撮影した赤富士の写真がありますが、
この私の写真と較べてみても、どこか共通する雰囲気を感じ取りました。
写真というのは、真実を写しているようですが、センサーやフィルムの特性、
または撮影後の調整により変化し、真実とは少し異なるものです。
だから写真は写真であり、現実とは少し違う。
自分で体感し、そして写真を撮ってみて初めて気付くこともあります。
「こういう光景を写真に撮ると、ああいう仕上がりになるのか」と。
大山行男氏の赤富士も、このような強烈なシチュエーションだったと察しました。
それは、彼の写真を見ただけでは、私には伝わりきらなかった事実。
こんな強烈な光景を写真にしたものだったと、失礼ながら気付けませんでした。
でもこうしてまたひとつ大きな体験をしました。
自然はまだまだ、魅せてくれると。
愚かな人間によって破壊された自然も、まだまだ死んでいない。
自然の底力を見せられた。
「昔はこんな光景がしょっちゅうあったのか」と察する。
近年見られなかったシチュエーションをこの体で体験し、どこか過去へタイムスリップような気持ちになりました。
撮影を終えたカメラマン達はみな去っていった湖畔で、
私は一人、広げたレジャーシートに寝転んで空を見上げていました。
アップロード日: 2014年8月5日