南アルプスからのダイヤモンド富士です。
長年、撮りたいと思っていてようやく撮影できた感動のシーンでした。
高い雲海が発生していたのも理想の展開。
作品としての出来はともかくとし、この瞬間に立ち会えたこと、
このシーンを写真に収めたことには大いなる意味があると思っています。
結論から言うと、この写真はあまりメリハリもなく
インパクトの薄い写真となってしまい、多くの人にこの場の空気感や感動を伝える作品にはなっていないと思います。
しかし個人的には非常に満足できる、渾身の一枚であります。
まず、南アルプス山域からのダイヤモンド富士というのは非常に貴重で、撮影に成功した人も多くないでしょう。
というのも、標高3000m近くなるこの山域でダイヤモンド富士が見られるのはおおよそ10月以降で、山では雪が降ってもおかしくない季節、山小屋も営業をしていません。
その山域に足を踏み入れること自体が、そもそもある程度の難易度となっています。
さらにはダイヤモンド富士が見られる位置をピンポイントで特定し、
日の出前からスタンバイしてその瞬間に備えなければいけないのです。
今回は、荷物を最小限に抑えて少ない体力で登るために、夜間登山を決行。
登山口を22時に出発して、約6時間後の朝4時頃にこの場所に立つことになりました。
夜の長時間歩行は遭難の危険もあり、山には歓迎されていないように感じましたが、思い切ってのチャレンジ。
先月もここを歩いた甲斐もあって、無事に到着。
天気によってはこのアタックをするかどうかは悩んでいましたが、
前日夕方の天気を見て高めの雲海が出る確率が高いと判断して、挑みました。
その読みは完全に当たって、雲海の上に浮かぶ富士山があまりにも神秘的だった。
徐々に背後が明るくなり夜が明けてくると、ついにドンピシャリのダイヤモンド富士。
非常に貴重なシーンを逃すまいと、カメラ2台でひたすらシャッターを切りまくり。
もはや目で見ている余裕などなかったのが残念ではありましたが、
確かにその光を感じて嘘のような現実のシーンに震えました。
富士山までの距離は約56km。
遠くにポツリと孤島のように浮かぶ富士山の、その頂から放たれる光。
やはり思い返しても現実の光景とは思えないようなシーンでした。
写真では逆に嘘くさく見えてしまうかも。
この目で見た者だけがその感動を心に刻むことができる。
そういったシーンだったように思います。
アップロード日: 2016年11月16日




