近年は毎日が高温・暖冬化の流れですがたまに気温の下がるタイミングもあります。
雪の回数も減っていますがようやく今シーズン初のまとまった雪だったでしょうか。

暖冬化の影響もあり、最初は雪でも最後に気温が上がって雨に変わるパターンも多々あります。
今回も富士五湖周辺などの平地では初めは雪で調子が良かったものの、雨に変わりました。

気温が上昇しても雪として持ちこたえたのは標高1300m以上だったという感じでしょうか。
近年はライブカメラの数も増え、夜間性能も向上しているため、状況のこまめなチェックが重要です。
今回は2月4日に少し降ったあと、2月5日~2月6日の午前中あたりに大雪となり、今回の撮影が2月7日でした。

気温や湿度が色々と変化する中、場所にも寄りますが1300m以上では条件が良く、白さ・雪の量・着雪の強度などの条件が良さそうに見えました。

最後まで読めなかったのが天気。
各種予報を色々と確認しても、かなりハッキリしない。
下層の霧っぽいものから、富士山を隠しそうな中層の雲まで、なんとも分からない予報。
しかし雪自体が珍しい現象でもあるので、撮影に向かうことにしました。
ちなみに私は微熱と喉痛で体調が微妙な日々でしたがちょうど回復してきた頃でした。

様々な状況次第で最終の撮影ポイントは変わるという前提でしたが、最終的には当初の予定通りになりました。

ライブカメラを見て着雪の状態が良さそうな標高付近で、アクセスが可能なところ。
私は撮影歴も長くなり色々な場所で撮影もしてきたので、なるべく過去の作品に無い場所を選びたいです。

条件的に「これは」と思えば定番の三ツ峠山に行きたくなりますが、今回は富士山が見えるのか?も含めて微妙だったこともあり、あまりこれまで雪景色を狙ってこなかった新道峠を選択してみました。
富士山の形が整っており安心感のある眺めです。

雪が多いとはいえアクセスは林道がほとんどになるため安全です。(登山道よりしんどかったりはしますが。)
テラスができてからは若干撮影ポイントも近くなり、外した場合のダメージも軽減されるかもしれません。

心配だった登山口までのアクセスは、大雪で30cm近く積もった路面ではありましたが、先行車が何台かいたようで、轍を辿って進んでいきます。
こういう時のためだけの四区車になります。
車高がさほど高くない車なので、腹を擦りながら進む感じにもなります。

なんとか登山スタート地点付近まで車を入れることができました。
無雪期の2倍以上は掛かる計算で歩かないといけません。

気合の入ったカメラマンが先に4名ほど歩いており深い新雪にトレースができています。
おおよそ40cmの深い雪の中を約1時間半ほど歩いたと思います。
運動不足や体重増加で「しんどい」だけなら気合と根性でなんとかしたいですが、「痛み」が出てくると厳しく感じます。
まだ、少しの痛みで済みますが年齢とともに登山は厳しくなっていきそうですね。

余裕を持ったスケジュールで比較的早めの到着、日の出の1時間半前くらいには到着できたかと思います。
風はさほど無かったものの寒い山の稜線、おそらく-10℃くらいだったと思います。
知人が多かったので夜明けまで話しながら待つことができました。

撮影地は肝心の富士山は嫌な雲が前に掛かっており姿がハッキリしない状況。
登山中も、自分の視線の上に雲が出ていたので厳しいと思っていました。

朝にかけてもどう動くか読めない状況の中、時間が状況を打破してくれました。
なんと奇跡的に夜明けの頃に雲が切れて富士山がハッキリと登場。
雲が多く広がる予報も見ていただけにこれはラッキー。

駄目なら運動不足解消しただけでも良かったといつも思っていますが。
風景撮影は、ダメ元でも可能性がある場合には行動を起こさないといけないものです。
現在の技術では、100%の確率で天気を当てることはできません。
最後は自分の予感を信じて行動するのみ。

ちょうど空の色合いが良い時間に、迷惑な光害であるふじてんスノーリゾート(スキー場)の灯りも消灯され、撮影ベストタイムに入ります。
このときの写真も良かったですが、今回のアップとは別カットになります。

しかし夜景の残る1焼けのあたりが雲の雰囲気がベストで、そこから紅富士、日の出の頃にかけてはやや雲が増加。
さらに日の出後はまた嫌な雲が舞い戻ってしまい、終了の予感となりました。

昔は「日の出までが撮影タイム」というスタンスで撮っていましたが最近は青空の写真も重視。
日の出とともに雲隠れでは少し残念な気もしましたが、木々の着雪も良いことだし、久々の山を堪能する意味でも場所を移動します。
個人的にはテラスからの眺めはバランスが悪くてあまり好きでないです。
前景も、パッとしない雑木でインパクトが薄いです。
今回の雪に関しては常緑針葉樹の着雪が特に良かったので余計に残念です。

散歩がてら旧展望地まで足を伸ばし、休憩したら帰ろうと思っていたところですが、なんと意外にも雲が減っていきます。
本当に読めないこの日の天気。

こりゃラッキーパンチがあるかもしれないと、ウロチョロ散策しながら待ちます。

すると雲がどんどん晴れてスッキリと。流石にここまで良くなるとは想定外。
光線的には朝早いほうが嬉しいですが、どうせ陽が入る時間も遅めなので悪くないです。

この日の撮影地付近の樹氷の状態は良く、日が当たってもなかなか落ちないタイプでした。
降雪中の気温や湿度、雪質、などにより異なります。

富士山がスッキリと登場してもなお雪の白さ美しく、様々なアングルで手が痛くなるほど撮影(手持ちメイン)。

少々の雲海や少々の上空の雲もアクセントに。
下界は最後に雨に変わったとはいえ、前日に河口湖で26cmの積雪を記録、街が白く見えますね。

レンズは広角番長のGF20-35mmを使用、太陽が画面外ギリギリにありゴーストに気を使いましたが、なぜかゴーストが発生しない角度も多くてとくに後半は逆光性能に助けられました。

とにかく様々な条件が良く、次に雪が降れば他に行きたい場所も多いため、今後もう撮れないベストショットになったのではないかと考えます。
「一生モノ」という表現もできる素晴らしいシチュエーションになったかと思います。

また気候の温暖化の影響もあり、様々な撮影ポイントで木の成長により展望が失われています。
2年後にはだいぶ見え方が変わっている、という場所も多々あります。

それから最近改めて思うことは、出会った景色はプライスレスであるということ。
そこに辿り着くまでの経験も含めて、どうやってもお金では買えません。
プロではない多くの人が、沢山の時間とお金を掛けてこの景色を見に来るのも改めて納得できます。
お金を払ってでも見る価値がある景色。
ちなみにこの日に周辺を訪れたカメラマンは6名程度だったと思われます。

このプライスレスな体験と景色を、しっかりとカメラで収めて記録にも残し、更に沢山の人に見ていただけ、商売としても活動できているので、まあなかなかこれを上回る幸福な状況は無いなと感じた次第です。

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アップロード日: 2024年2月8日

自己評価: ★★★★★

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