久々に心震えるような強烈な光景!
写真ではこの感動がいまひとつ伝わらないのが残念なところ。
晴天でお花と富士山を撮ったほうが、写真としては輝いて見える。
この日は前線が西から迫っており天気予報は濃い曇りマークとなっており、予報としては悪。
ただ、前線が接近や笠雲が出ているパターンでは、比較的朝焼けの可能性が高いというのがこれまでの経験則。
SCW(旧GPV)予報でも東の空は紫色もありやや怪しかったものの、南風や笠雲のパターンでは予報に反して晴れやすいというのも良くあること。
夜中には笠雲がなくなり山頂まで見えていた時間もあったほどで、運が良ければ山頂まで見えた状態で赤富士がゲットできる可能性もあり、チャンスと見ました。
本来、撮影なんてダメで元々。
ましてや「撃沈と絶景は紙一重」と言われるのだから、微妙なときこそ行かねば絶景には出会えない、ということを久々に胸に刻んで出撃したのであった。
天気予報が悪いこともあり、誰もおらず静まり返った湖畔。
やはり一人で富士山と向き合う時間は好きですね。
富士山撮影もブームと化している今、一人になりたければ山奥にでも行かないとならないのが少々悲しかったりしますが。
日の出の1時間前に到着し、撮影しながら背後を見るとわずかに感じる色味。
「やっぱり、来たな」と静かに時を待つ。
通常、薄明の朝焼けは富士山山頂の日の出時刻からちょうど30分ほど前にピークを迎えるが、徐々に色が強まって、肉眼でも強烈な色を見たのはその10分後くらいだっただろうか。
いわゆる”1焼け”が少し遅れて来た印象だった。
その後、いったん色が消えて”2焼け”(私は「本焼け」と呼んでいる)を待つ時間。
ついついスマホをいじって待っていると、急に空が暗くなったように思えた。
日の出方向に急に雲が湧いて光が遮られてしまったのか?とも思った。
実際にそういうこともある。1焼けが強くて終わってしまうこともある。
あたりはかなり暗くなってすっかり赤みも消えて、諦めてもおかしくなかったところ。
ふと思い出すのは、1焼けのピークが少し遅かったということ。
基本的には1焼けの色や濃さと、本焼けのそれとは大体一致する。
今回も正にそのパターン。
ライブカメラで一足先に東の空が焼け始めたことを確認すると、意識を手元カメラに戻してスタンバイ。
すぐに、真っ赤な光線が射した。
それは1焼けで見た様子から予測できた通りの色の濃さ、光の強さ、いやそれ以上か。
一度は遮られたかとも思った太陽光は雲間からやってきた。
個人的には、ここまでは見たことがないというほどの強烈な光線であった。
おそらくこの強い光線を捉えるにはカメラ性能も限界であろう。
カメラで見たままの景色をそのまま記録するというのは無理な話なのである。
最初は吊るし雲から染めた光が、すぐに降りてきて笠雲を、そして富士山を染めていく。
このように雲に覆われた状況で見る赤富士は格別で、富士山全体が染まる頃にはまあ素晴らしい光景になる。
そのはずなのだが今日は少々富士山の前にモヤが出ていたので残念。
もう少し富士山の近くや、モヤの邪魔を受けない場所から見れば素晴らしい赤富士が見られたはずです。
そういうわけで、誰も狙っていなかったような曇天の朝に、突如やってきた赤い光景。
サプライズとアメイジング。
こういう撮影は胸が躍る、とても面白い。
ただ、こういう写真を世間が求めているかは別の話。
結局、一番の写真の楽しみは「自己満足」に尽きるのではないかと思うわけです。
アップロード日: 2020年10月5日