ツイッターで話題となり、各種ニュースにも取り上げていただいた吊るし雲のショットです。
撮影直後にTwitterに投稿すると、勢いよく拡散されて約5万件(2020年10月現在)の「いいね」を頂きました。
自身のSNSでは、富士山の写真で1万を超える反響はこれまでなかったので、人生最高の「バズり」となりました。
沢山の反響をいただき、改めて感謝いたします。
この日の撮影は、突然に。
低気圧の接近や雲の様子は分かっていたのですが、雲が多い空で富士山は隠れがち。
湿った南風に吹かれて頭に雲を纏った富士山は、このパターンの天気ではよく見る光景です。
とくにこの日は富士山に被った雲が厚く、仮に朝焼けしてもさほど面白い光景にはならないだろうと考えていました。
夜明け前から起きていたので、念の為、ライブカメラを継続的にチェック。
すると、ある意味で予想通り、朝焼けの色が入りはじめていました。
しかし富士山はまだ雲の中という感じ。
無理してまで撮らなくても良い光景に思えました。
しかしなかなか色付きが濃いようなので、窓を明けて外を確認すると、ビックリ!!
朝焼けの色はかなり濃く、そして巨大な「吊るし雲」がドーンと浮かんでいるのが見えたのです。
ライブカメラでは富士山をメインに捉えているため、この巨大すぎる吊るし雲の存在に気付かなかったのです。
なおこの朝、静岡側では小雨が降る天気だったようで完全に曇っていました。
窓から見た強烈な光景に「これは!!」と慌ててカメラを取りに走りました。全力ダッシュです。
なかなかパッとするような光景に出会えてなかった日々、久々の衝撃です。
窓から見たのはいわゆる「1焼け」のピークくらいの時間で、薄暗いもののかなりの色でした。
そして大急ぎでカメラをスタンバイして撮影。
次第に訪れた2焼け(=本焼け)の素晴らしい染まりがこちらの写真となります。
1焼けの期待を裏切らない、爆発的で美しい朝焼けでした。
空に浮かぶおどろおどろしい吊るし雲の形に興奮します。
面白いシーンが撮れたと確信しました。
ただ、富士山がほとんど雲に呑まれてしまっているのが残念。
インパクトある光景ですが、いわゆる”作品”としては使いづらいなと感じたのです。
どちらかといえば、間違いなく話題性・インパクト重視の光景です。
そして私は知っています、ツイッターでバズる写真の定番が、この渦を巻いたような吊るし雲であることを。
過去に何度も、何人ものカメラマンが、大バズリしてるのを知っていたのです。
ここは冷静に、「これはバズり要因だ」と考えて戦略を取ったのです。いたって冷静に。
もうSNSに入り浸って5年以上か、セオリーは一応わかっているつもり。
いくつかの法則を取り入れて、撮影後すぐに投稿したのです。
これがバズらなかったら何がバズる、という感じでしたが、結果は見事成功。
なかなか狙ってできることではないのですが、今回はうまく目論見がハマってくれたようです。
Twitterの公式トレンドにもピックアップされており、それも手伝って多くの人に見てもらえたようでした。
ほんとうは、もっと自分が苦労したり、感動した光景というのは沢山あるのですが、それとこれとは話が別。
自分の思い入れが深いのと、他人の反響が大きいのとは、別の軸であって、同じに考えると痛い目を見ますね。
あくまで外から見たものと、自分の内側から見たものは常に異なるという考え方をきちんと理解した人間でありたいと思ったのでした。
当該のツイート
https://twitter.com/fujitomo_photo/status/1306692570202779649
同じ日の雲で約25万いいねを獲得したTaitanさんのツイート
https://twitter.com/taitan21/status/1306742905923489793
取材して下さった「まいどなニュース」
https://maidonanews.jp/article/13740307
アップロード日: 2020年10月12日