冷たく静かな夜がじわりと明けてゆく。
寒さ厳しい冬の朝に、端正な富士が望める場所に立った。
うっかりのんびりとしてしまうと、空はすでに明るみ始めていました。
撮影のメインは、太陽が出て富士山に直接陽が当たるタイミング。
…そう思っていたのですが、うっすら夜明けに色づいた富士がずいぶんと美しい。
この時期にしては温かい雨が降った後で、富士山の雪はコッテリと濃くて、白がいっそう美しく見えます。
雲の朝焼けに「1焼け」と「2焼け」があるように、紅富士にも1番と2番がある。
現場に到着したとき、ちょうど1番焼けのピークのあたりだった。
慌ててカメラをセットしてすぐさま撮影。
見事に美しい姿をとらえることに成功しました。
シンプルでとくに珍しいこともなく、普通の朝だったのですが。
改めて富士山の美しさ、そして夜明けの色の美しさ。空気感。
ベースにあるそういったシンプルなものを存分に感じました。
また、「2焼けの紅富士が撮りたい」と思って来ても、結局「1焼けの紅富士」のほうが良い写真が撮れてしまう。
写真家の狙いなんて浅はかで、自然は常に想像を超えてくる。
想像通りの写真を撮るのは面白くありません。
いつも自然に驚かされ、翻弄されながらカメラを向けてシャッターを切る。
なんだか、ありそうでなかった一枚がまた作品に加わりました。
アップロード日: 2016年12月14日




