南アルプスより望む大雲海とその先の富士山。
写真展バージョンでモノクロ仕上げです。
この日はちょうど私の30歳の誕生日。
前日の天気からは想像もし得なかった全面の大雲海となりました。
いったいどこからこの雲はやってきたのか。
標高2500m程度で広がり、下界ではすっかり曇りの天気だったでしょう。
太陽が徐々に高度を増し、ちょうどフレームアウトさせて構図を作れる状態となりました。
御来光のシーンももちろん美しいですが、太陽をあえて隠して
逆光のシチュエーションを表現するのも良いですね。
左手前に雲海が沸き立っているのが、実は重要な要素だったりもします。
雲海は全体で激しく動いており、このチャンスは逃せません。
何も考えずに撮影していると逃してしまいそうですが、
これも大山行男氏の写真と他のカメラマンの写真を比べて気づいたことです。
雲海が沸き立っていない写真は、どこか見どころに欠けます。
かくいう私もこの時は大興奮していて、夢中でただただシャッターを切るのみでしたが…。
富士山の上部は白く、冠雪しているようにも見えますが、これは”フェイク冠雪”。
実際、少しの冠雪はありましたが逆光ではほとんど見えず、
雲の層が富士山に重なって白く見えます。
それから、左下の黒い稜線は、少し視界を遮るようで邪魔だなぁと思っていたのですが、
こうして見ると右中央の稜線とのバランスもよく、
画面を引き締める効果が出て、なんともまとまりの良い作品となりました。
アップロード日: 2016年3月4日