日本の定番風景、桜と富士山の2016年バージョンです。
この写真1枚でいくらでも話ができてしまうくらい、
桜と富士山は奥が深い…!?かもしれません。
「桜と富士山」の光景は、見る人が望む定番中の定番中の光景なのですが、
撮影が難しいということは良く口にしています。
とにかく春は快晴になることが少なく、桜が満開の撮影タイミングは3~4日程度で、1週間持ちません。
近年は中国から飛んでくる大気汚染物質、PM2.5等の影響で霞がひどく、
年々条件が悪くなっていることを感じざるを得ません…。
温暖化だかエルニーニョだかわかりませんが、気温も高めに推移しています。
今回は、ある意味で「渾身の一枚」という撮影になりました。
天気予報では「晴れ」が出ていたものの、夜明けまでは雲が多く全く富士山が見えなかったこの日。
天気予報を信じ切れず、撮影を断念した仲間もしました。
しかし私は、天気図から「良い予感」を読み取って撮影に繰り出しました。
移動性高気圧が近づいてきて、春には珍しく北風が続く予報だったのです。
100%自分を信じたわけではなりですが、チャンスは今日だけ!と思い飛び出したのが正解。
夜明けまではぼんやりしていた空が、一気にヌケてクリアーになりました。
例年にも増して気象条件が悪い中で、一番良い日を当てたことになりました。
結果論ですが、ちょっと気持ちの良い撮影となりました。
ただ、撮影時の立ち回りは自分としてはいまひとつ。
「この木のこの枝」というのを先に決めておかないと、バタバタしますね。
ロケハンもせずに来たので、枝を探しながら周辺を撮影して回るのには時間が掛かりました。
朝イチが勝負で、徐々に条件が悪くなる河口湖ですので、一分一秒を争いながら撮影していました。
しかし山で影になる部分も多く、枝に寄って日が差してくるタイミングが違うのも曲者。
早く着きすぎても無駄だし、遅れると命取り。
またこの日は厄介なことに、急に強まった北風で富士山の頭の部分にチラホラと嫌な雲が発生。
雲が出るたび、「もう終わりか?」と心配しつつも、また晴れてくるのを待っていました。
結果的には雲は出るたびに消えましたが、雲が消えるのを待つたびにタイムロス。
雲が出ずずっと晴れていれば、もっとテキパキといろいろなポイントを回れたのになぁと悔しい思いです。
しかし自然のことなので致し方なし。
結局この日はなんだか不思議な空の色で、
澄んでいるのに霞んでいるような「青黒い」空になったのが印象的でした。
そんな空の色はあまり見たことがなかった。
現像で彩度を上げないと青空が出てこないような空は、なかなか出くわしません。
この1枚の写真から読み取れることもいくつかあります。
まず印象的でもあったのが、桜の勢いが良く「今年は元気だな」と思ったこと。
花の咲き方といいますか、生命力といいますか。
年によっては枝に花が咲かないこともあったりしますが、
今回の河口湖はどこを見ても生命力あふれる勢いのある咲き方だったような気がします。
花がつかない枝もほとんど見ること無く。
去年は寒暖差など荒れた天気で農作物がちゃんと育たない被害などがありましたが、
今年は温暖な気候だったためか植物は喜んだのかもしれません。
冬は気温が高い日が続きましたので、富士山の雪は少なめ。
好みはあるでしょうが、白と青がまだらに模様を描く富士山も、主張があり嫌いではありあません。
最後に、湖面は風に揺れてしまい逆さ富士は望めなかったことは、少し残念です。
ただ、河口湖で日の出以降に逆さ富士を望むのは難しく、
北風でヌケがよくなった中では、贅沢は言えません。
今回は「たくさんの枝で撮ろう」とバタバタ動きすぎたせいもあり、
少し丁寧さに欠ける撮影にはなったかもしれません。
いくつものポイントで撮ってみましたが、結局どれがベストということもなく…
欲張りに見合った成果という感じになりました。
この一枚は河口湖でも最も定番のポジションから、
あまり人々が狙わない縦構図での切り取りです。
アップロード日: 2016年4月27日