山中湖からのパール富士です。
今回は最大限の後悔の念も込めて、撮影記として書きます。
まずこの一枚は、朝焼けに包まれた中で月が富士山頂に舞い降りるシーン。
逆さ富士もほどほどに出て、穏やかでした。
霞が強いのは大気汚染の影響が強そうで、前夜から半ば諦めていましたが。
それでも雲が多い状況からよくここまで回復してくれたと思います。
撮影できただけでも、まずはラッキーと思わなくてはいけません。
さて今回は何が「後悔」なのかと言いますと、自分の撮影プランがまずかった。
本来は富士山頂が朝日に照らされて「紅富士」となっている状態が理想的です。
しかしこの朝、日の出がやや遅れており山頂が朝日に染まる前に、月が沈んでしまいました。
当サイトで公開している撮影カレンダーによれば、この日のパール富士のタイミングは、「日の出から7分後」であります。
http://fujisantotomoni.jp/calendar/
富士山頂の理論的な日の出の時刻からの計算になっていますが、
大抵の場合は理論値より遅く太陽がでてきます。
そもそも「日の出」とは太陽の頭の部分が見えた瞬間の時刻を言います。
そこから太陽全体が見えるまでは約2分掛かります。
こうなったとき、ようやく富士山の山頂部分が太陽の全体で照らされます。
さらに、山頂から下、たとえば5合目あたりまでが照らされるまでに数分掛かります。
そして日の出方向に雲があれば光が遮られ、これにより太陽が見える時間が大きく遅れる場合もあります。
この日は目立った雲はなかったようですが、霞みなどの影響で少し日の出が遅れました。
真冬の快晴の日でも、早くて理論値から2~3分遅れ、平均的に5分遅れ程度かと思います。
この日は雲の発生も考えられ、霞もあり、日の出時刻から7分後に紅富士に染まることを期待するのあまりに無謀だった、と言わざるを得ないのです。
そんな場合、どうするのが正解だったか?というと、
月を左右にずらすことで沈むまでの時間を長く取るか、背後に下がったり標高を上げて、月の沈む時間を遅らせます。
すると、日の出が遅れてきても紅富士に染まった富士山と絡めることができます。
今回は背後にある石割山での撮影なども考えていましたが、天気が微妙だったこともあり登山する選択は避けてしましました。
言ってしまえば、「天気が微妙だからモチベーションが上がっていなかった」というのが正直なところですが、結果的に撮ろうと思えば撮れたので、やはり後悔してしまいます。
実は混雑を予想して、この日は前夜から駐車場に入り、車の中で寝ました。
その気合は評価すべきですが、結局、ギリギリの時間まで寝て、他の場所で撮るという選択肢は排除されました。
さらには仲間と出くわし、会話を楽しんでしまったのも運の尽き。
結局、月は見事に富士山頂に落ちたものの、朝陽が入らず地味な写真に。
この後は最後のあがきで場所移動。
同じ山中湖畔でも、左右に移動すれば月が富士山の脇に出てくるので、そのタイミングで紅富士に染まれば良いという話です。
ここまでの判断は良かったものの、「移動距離が短く済む」という理由で、平野方面ではなく大池方面に走ってしまったことが大失敗。
実は平野方面は富士山から遠ざかるが、大池方面は富士山に近づいてしまう。
よって、月が富士山の裏に隠れやすい。
これをすっかり想定に入れておらず…
移動したものの、月は既に半分沈んでおり、間に合いませんでした。
これが平野方面に移動していれば、多少到着は遅れたかもしれませんが、
左側に月を配置して紅富士と一緒に撮れたことでしょう。
とっさの判断で間違ってしまったわけですが、
そもそも「とっさの判断」になってしまったことが失敗で、
山頂パールで失敗した場合の次の行動を想定していなかったことが問題。
左右にずらしたバージョンもあらかじめ想定しておけば、土壇場でバタバタせずスムーズな行動ができたはず。
大池方面より平野方面のほうが富士山から遠いとは、本当にうっかり失念でした。
というわけで朝日が絡むパール富士の細かい話になりましたが、
ちょっと忍野に引っ越してからは集中力が落ちているのも事実。
近いからといって気を抜いていると、今までのように撮れなくなる。
ちゃんと撮るならやはり常に集中して、モチベーションを高く持っていないといけない。
「すぐ行ってちゃっと撮れる」なんて思っているから、痛い目を見る。
今回はその良い教訓になりました。
アップロード日: 2017年5月13日




