富士登山の記憶~Since 2010
富士山写真家 オイです。
私の原点は富士登山。
今でこそ富士山を被写体に撮影を続ける日々ですが、
最初に富士山に魅力を感じてまず行動したのは、富士登山への挑戦でした。
当時、ミラーレス一眼カメラを手にしていながら、
富士山を「撮影する」のではなく「登る」ことを選択したことは、重要な意味を持っている気がしています。
現在は富士山の撮影を続けながらも、年に最低1回は富士山に登るようにしています。
そのたびに、写真という枠を超えて、「富士山」という山そのものが好きなのだと、思い出させてくれます。
本エントリーでは、これまでの私の富士登山の記録を残していくことにします。
登山するたびに、エントリーも更新していきたいと思います。
現在は7年連続、12回登頂。
登頂1回目 - 2010年8月30~31日
登山経験なし。ネットで情報をかき集め、ある日突然決意した富士登山でした。当時24歳。
仲間を募るも集まらず、一人で挑戦した富士登山。
富士山の山小屋に宿泊したのは最初で最後。
全ての光景が新鮮で感動した。
だけど…大失敗もした。
財布を忘れて大ピンチ。
なんとか小屋には泊めてもらうも、下山時に水がなくなり、水を買うこともできず…
本当に脱水症状で倒れるかと、死にそうになりながら下山した辛い思い出に。
目の前を飛んで行く流星を見たり、夜間外出で山小屋のオヤジに怒られたり、
合わない靴で足にひどいマメができたり、ご来光に感動したり…いろいろありました。
スケジュールは、8月30日の夕方に富士宮口よりスタート。
9合目の万年雪山荘に宿泊、8月31日未明に登頂、山頂火口の東側でご来光を拝む。
反時計回りでお鉢巡りして下山。
当時の記録によると、五合目から山頂までの歩行タイムは3時間半程度のようです。
荷物が少なかったとはいえ、今より早いくらい。
日頃の運動もなし、登山経験もなしですが、最初から山は早く歩けたらしい。
登頂2回目 - 2011年7月9~10日
ちょうど梅雨明けが発表されることとなった日だったことが印象的だった、2回目の富士登山。
この時は友人を連れて二人で、須走口からの挑戦。
マイカーで五合目に上がり、夜発の弾丸登山でした。
撮影にも気合が入っており、夜に雲海や星空を撮影しながら登っていると、あっけなくタイムアップ。
たしか7合目過ぎあたりで日の出時刻となり、ご来光を拝むことになりました。
梅雨明けの晴々しい空と雨上がりの雲海がとにかく美しかった印象。
この日も反時計回りでお鉢を巡ってから下山しましたが、下山時は災難の連続。
午後の夕立に降られてびしょ濡れで山小屋に逃げ込み。
安い雨ガッパは蒸れ蒸れで最悪の気分。
ちゃんとした登山靴もないからと引っ張りだした古いスニーカーの底が剥がれて破損。
下山道に”砂走り”があるとは知らず、靴の中まで砂まみれになってボロボロの下山。
さらに弾丸登山後の車の運転で疲労困憊。下山からは悪い思い出しかありません。
特に須走ルートは距離が長いので、無理は禁物だなぁと実感したのでした。
あと、しっかりした装備や事前の情報収集も大事です。
登頂失敗 - 2011年9月6~7日
一度だけ登頂に失敗した登山です。
山小屋も終了した9月に富士宮口から弾丸登山に挑むも、
同行者の体調不良により8合目で断念。
9月にしては厳しい気象条件で、ご来光を待つ間は寒さに凍えて死にそうでした。
薄いガス層にに浮かぶ雲海が印象に残っています。
登頂3回目 - 2011年9月10日
4日前の登頂失敗からすぐに再挑戦。
この年3回目の富士登山大好き野郎です。
山中湖で日の出を迎え、穏やかな早朝からの登山。
山小屋が営業しているスバルライン五合目から、体力自慢の友人と二人で挑戦します。
やはり富士登山は体力勝負なところがあり、体力のある彼はスイスイと登ってしまい置いて行かれました。
このときは、Tシャツを腰に巻いて登っていたところ途中で落とし、30分ほど拾いに戻るというハプニングあり。
Tシャツを腰に巻いて登ってはいけません…当然ですね。
3時間半程度で登頂し、初めて時計回りにお鉢巡りをしてから下山。
日帰りでスケジュールが心配だったものの、小走りで下山したらなんと1時間半で五合目に戻り、
駐車場で夕日を見ることができました。
この秋から、徐々に富士山を撮影するようになっていきます。
登頂4回目 - 2012年6月23~24日
大山行男氏の作品を見て憧れ、6月の夏至に近い時期の富士登山に挑戦しました。
富士宮口より、単独夜間登山。
前年にニコンフルサイズ一眼レフ「D700」を購入して、機材もレベルアップしています。
6月の富士山はまだ雪が残り、雪渓を横切るところがあります。
しかも夜は凍っていて、一歩足を滑らせるとそのまま滑り落ちて命を落としかねない場所です。
アイゼンは着用しましたが、ピッケルも持って行くべき環境です。
山頂では、雪面の上に置いたザックが強風で流され、あわや機材ごと荷物をロストするところでした。
慣れない環境は怖い、怖い。
しかし危険を冒した甲斐もあり、信じられないほど美しい朝焼けを拝みました。
日本一の場所で、最高の朝焼けを独り占めした忘れられない思い出に。
この日も時計回りでお鉢巡りしてから下山。
登頂5回目 - 2012年8月12~13日
この年2回目の登山。
富士山に登ってみたいと言っていた友人を連れて二人で富士宮口より。
マイカー規制期間のため、初めてシャトルバスを使って五合目へ上がりました。
流星群のピーク日ということで山頂から星空を見よう!という計画だったのですが、流星は不発。
山頂は雲に包まれている時間も長く、なんとか星は見えたものの、朝のご来光は見えず。
友人は序盤から高山病にやられ、山頂では寒さも合わさり死にそうになっていました。
同行者がいるとペースが乱されます。
天気も悪いため、お鉢巡りはせずに下山。
ライブカメラを見ると富士山には笠雲が。
ある程度下りたところで笠雲の下に抜け、見上げるとすっぽり山頂が覆われた富士山。
湿った強風が吹き荒れ、頭上や遠くに吊るし雲が見えました。
荒れた富士山に登った貴重な体験です。
登頂6回目 - 2012年8月23~24日
この年3回目の富士登山は、家族4人で挑戦しました。
富士宮口から、夜発弾丸登山。
最新機種のニコンD800Eを購入して、最初の撮影がこの富士登山。
サブ機のD700まで持って行きましたが、頻繁な登山体験で体力がついていたのか、4時間程度で登っています。
この日は登山客も多く、登山道は渋滞して大変でした。
人混みの間をすり抜けて急いで山頂を目指しました。
天候にも恵まれて気持ちの良い登山に。
反時計回りでお鉢巡りをし、ブル道を主に使って下山。
天気が良すぎて下山時の日差しが厳しかった。
登頂7回目 - 2012年10月13~14日
驚きのこの年4回目の富士登山となりました。
自分のバースデイを富士山で迎えたいと思いふらっと一人で山頂を目指しました。
この日はフットワークを軽くするため、三脚を持たずにカメラのみで登山したので身軽でした。
富士宮口から問題なく登頂し、反時計回りでお鉢巡り。
10月も半ばでしたが、少し風が強い程度で荒れることもなく。
体力が余っていたのか、帰りに宝永火口まで足を伸ばして紅葉を撮影。
さらには帰宅すると夜には池袋まで移動して友と酒を交わしていました。元気。
登頂8回目 - 2013年9月16~17日
前年の4回からぐっと減って、この年唯一の富士登山。
富士宮口から夜間単独。
山頂で夜明け前の撮影をしようと思うも、暴風が吹き荒れるコンディションで山の厳しさを感じます。
9月にもなるとこういう日が増えてくるようです。
必死で岩陰に隠れて、三脚がブレないよう気をつけながら撮影した夜景が思い出。
この日はヌケがかなり良く、360度、下の景色がよく見えて感動しました。
輝く東京の夜景、横浜の街並み、江ノ島や三浦半島、房総半島も。
時計回りお鉢巡りをしながら、望遠レンズを向けて「あれがあそこか~」とシャッターを切りまくりました。
これまで駆け巡ってきた数々の富士山撮影ポイントを、逆の視点から見下ろす作業は感動的です。
登頂9回目 - 2014年6月30日~7月1日
すっかり富士山はオフシーズンに行くようになり、この年も開山前のタイミングで登頂。
富士宮口から夜発単独で、剣ヶ峰にてご来光待ち。
夜景は少し見えたものの、朝方に雲が掛かってご来光の瞬間が見られず。
しかし光を感じるため雲が薄いことはわかり、待っていると雲が開けました。
火口に雲がある貴重な光景が印象的です。一瞬のチャンスでした。
上空は抜けるような青空で、一方かなり高いところまでガス層が張っていました。
この年は大雪で富士山の残雪がかなり多く、吉田ルートは開山していたものの「お鉢巡りは禁止」となっていました。
富士宮口からお鉢巡りをしていたら、吉田ルートの山頂で止められたのが変な思い出です。
登頂10回目 - 2014年11月10日
6月の残雪シーズンは何度か経験したものの、新雪のシーズンはまだ未体験ということで、11月に挑戦。
雪が降ったら行こうと思っていたのですが、この年は雪が少なく11月に食い込みました。
富士スカイラインが通行可能な最終日、富士宮口から上がります。
さすがに冬山の夜間は危険と感じて、早朝から出発しました。
結果的には正解で、登山道でも山頂でも素晴らしい光景を目の当たりに。
最も印象に残っている富士登山の思い出です。
ピッケルは持って行きましたが出番はなし。
アイゼンは良く効いて気持ち良い雪面歩行でした。
お鉢巡りで1箇所だけ怖いところがありましたが、全体に雪が薄いため危険箇所は他になし。
山頂は-7℃の強風でしたが、体調が良かったのか寒さも感じず快適登山でした。
雨氷でキラキラと輝く登山道や真っ白に凍りついた鳥居の光景が目に焼き付いています。
登頂11回目 - 2015年6月4日
今までで一番早い時期の富士登山。
しかし雪が非常に少ない年のため、前年の7月よりも断然雪が少なかった。
前夜から撮影に出てきて、夜通し撮影、朝は山中湖でパール富士。
それから富士宮口まで移動して、単独で登山開始。
三脚を持たず、撮影目的というよりはもはや毎年の恒例行事になっています。
雪は少なかったが寒さはあり。
時計回りでお鉢巡りをして下山。
当時の記録によると登り3.5時間、下り2.5時間。
歴代富士登山の中では最も印象が薄い登山でした。
登頂12回目 - 2016年6月26~27日
実は初めて富士山に登ってから7年目にして、丸1年以上富士山に登っていなかったのは初めてのこと。
そのせいか「久々だなぁ」と感じました。
暖冬の影響で雪が少なかったため、「5月の富士山」に挑戦したいと思っていたのですが、
タイミングを逃してしまい結局6月末に。だいぶ雪も減っていました。
今回も富士宮口から夜間単独登山。
久々すぎて時間感覚も読み違え、途中で撮影しながら登っているとご来光の時間が迫ります。
最後は体力を振り絞ってかなり無理をして登頂、なんとかご来光に間に合わせました。
日の出前に上空に湧いた雲が綺麗な朝焼けとなり、感動的な朝となりました。
朝は登山客も少なく、外国人の割合が多かったです。
景色もよく、非常に気持ち良い登山。
時計回りでのお鉢巡りは、外の景色をじっくり見ながら、休憩も入れて5時間。
久々の山頂をじっくり楽しんでから下山しました。
トレースがあればなんとかなるだろうとアイゼン類は持って行かなかったのですが、
雪が減っているとはいえ夜は凍った雪面を歩く箇所もあり、チェーンスパイク程度が必要でした。
登頂13回目 - 2016年7月28~29日
この年2回目、久しぶりに友人を連れて3人での登山。
今までは2人までだったので、3人で登るのは初めてのこと。
久々の吉田ルートでしたが、今回は5合目より下の中腹からスタート。
20時出発の弾丸スケジュールでした。
夜の吉田ルートは初めてで、梅雨も明けて登山シーズン真っ盛りということで、
たくさんの人で賑わい、久々の「御来光登山渋滞」にもハマりました。
体がなまっていて出だしは疲れたものの、7合目あたりからは体力がみなぎってきて、
疲れも高山病も何もなく元気に登頂。
登山渋滞もあり時間ギリギリになってしまったものの、無事に山頂で御来光を拝みます。
仲間とビールを飲んだあとは、一人で時計回りにお鉢巡りをしてから下山。
砂走りを全速力で駆け下りて、6合目まで1時間10分の快速下山。
このまま降りきってしまおうと思ったものの、一気に足の痛みと体力の限界が訪れ、6合目からはダラダラのボロボロ。
概ね予定通りの12時前には下山しました。それでも15時間ほとんど歩きっぱなしです。
それでも大きな事故もなく、絶景を楽しめた素晴らしい登山でした。
登頂14回目 - 2017年6月23~24日
富士宮ルートより夜発、残雪あり。
登頂15回目 - 2017年7月24~25日
富士宮ルートより、夜発、山頂でのご来光はガスに阻まれるも吊るし雲が出現。悪天のためお鉢巡りなし。
登頂16回目 - 2018年7月8~9日
富士宮ルートより、夜発、登山道にて夜明けを迎えてお鉢巡り。
登頂17回目 - 2018年9月11~12日
富士宮ルートより、夜発、登山道にて夜明けを迎えてお鉢巡り。
登頂18回目 - 2019年9月15日
吉田ルートより、朝発日帰り。お鉢巡りあり。
以上が全18回の私の富士山登頂の記録です。
その登山歴は、富士山の撮影歴より長いと思うと少し不思議な感覚もあります。
富士山を撮影するカメラマンたちは、なかなか富士山に登ろうとはしませんが、私にとっては重要な場所。
富士山に登っているときが他のどの山よりも気持ち良いし、清々しいピュアな気持ちを思い出させてくれます。
今後もよほどのことがない限りは、毎年の挑戦を続けることでしょう。
このエントリーもその都度更新していく予定です。
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Posted at 2016.07.08
Updated at 2019.10.08
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