間違いだらけの”ストロベリームーン”。ネットの情報まとめと真実。

富士山写真家 オイです。

ネット上で「ストロベリームーン」が話題になっていますが、間違った内容の記事が多く出ているため、私なりの見解を書いておきます。

月の画像をピンク色に加工して遊ぶのはいいですが、原理として間違ったことを書くのはいけないですよ。

月は本当にピンク色に見えるのか?なぜ色が変わって見えるのか?

そもそもストロベリームーンって何?

実写も交えて解説いたします。
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ストロベリームーンとは?

(正確な出どころはわかりませんが、ネットの情報をまとめると)6月の満月のことを指すようです。

6月はアメリカでイチゴの収穫期となるそうで、それにちなんでの呼び名と言われています。

それがなぜか日本にやってきて、この時期になるとネットニュースやSNSを中心に騒がれます。
たしか2016年か、2015年あたりから話題になることが多くなったと思います。

中でも「月がピンク色に見える」という情報のインパクトが強く、拡散力があるようです。

「話題性があればウソでも広まっていいのか?」とツッコミたくなります。

実際のところ、月がピンク色に見える条件などはありますが、この時期だけ特別そう見えるわけではないです。

これについて解説したいと思います。

他には、「見ると幸せになれる」とか、「恋愛運が上がる」などと言われていますが、このあたりは好き好きに楽しんでくれればと思います…(遠い目)。

2017年のストロベリームーン

2017年は6月9日が満月となり、このタイミングを「ストロベリームーン」と呼んでいるようです。

ちなみに満月となる瞬間は22時10分ですが、時間はあまり気にされることなく、「日」単位で話題になることが多いです。

また、国立天文台によれば、この満月が今年最小の満月となるとのことで、もしかすると「いつもより小さいかも」と思うかもしれません…(実際、条件を揃えた写真で比べないとわからないはずです)。

ストロベリームーンが最小の満月となることは、ただの偶然です。

ネット上のまとめ

ネット上にはいくつもニュースが出ていますが、Twitterからいくつかご紹介します。

やはり大手サイトがこぞって「ピンク色に見える」などと煽っています。

ライブドアニュースでは「太陽と月の距離が離れることで赤色だけが月に反射し、月がピンク色に見える」とまったく良くわからない理論を展開しています。記事の中では「ピンクの満月」、「初夏に観測できる」などと書かれています。

こちらはヤフーニュース。記事の中では、月が赤く見える理由について、夏の満月が冬に比べて高く上がらないことを説明しています。

一方、否定派のツイートがいくつか。

ビクセンのツイートでは、一連のネット情報を否定し「ピンク色に見えることはありません」と発言。
果たして…?
sorae.jp‏のツイートでも「赤く染まりません」と言い切っています。

そしてここからが私と同じ意見のツイート。
「月が赤くなることはあるが、季節とは関係ない」というものです。

気象庁気象研究所研究官の荒木さんは、ツイートで「月の高度が低い時に大体いつも見れます」と言っています。
TSUKADAさんという方も、私と同じようにネット上の情報を訂正し、正しい情報を発信しているように思います。
こちらのツイートは上記ライブドアニュースの内容を否定するもの。

というように、いろいろな情報が出てきてしまっています。

SNSも怖いもので、間違っていても話題性があれば拡散していくものです。
熊本地震のときも、ライオンが逃げ出したというデマツイートが拡散されましたね。

最近ではテレビでもネットの情報を鵜呑みにしてしまうというミスが話題に。

ネットの情報は拡散とコピーを繰り返され、最初の出どころがわかりづらくなってしまうのも恐ろしいところです。

で、実際のところは

とにかく私が言いたいのは、「ストロベリームーンだから赤やピンク色に見える」というのはおかしい、ということ。

それから「赤く見えない」という情報がある一方、赤く見える条件もあるということです。


わかりやすく、実際の写真で見てみましょう。

※全ての写真は大幅な加工はしていません。


東京から見た「ストロベリームーン」
こちらが2016年5月に撮影した”ストロベリームーン”?

2016年は6月20日がストロベリームーンと言われていたので、その前月となりますが。

このように、月がピンク色に見えることは、あります!

ただしその条件は少し複雑です。

地平線の近くで色がつく
海ほたるパーキングエリアから見た日の出
こちらは日の出の写真ですが、月や太陽が地平線の近くにあるときは色が赤っぽく見えるということがあります。

これは太陽や月の光が通ってくる空気の層が厚いことで、青系の光が反射してなくなり、赤系の光が届きやすくなるためです。

月や太陽は夏でも冬でも地平線から昇り、地平線へ沈むため、季節は関係ないわけです。

ただし、冬は空気が澄んでいることが多く、夏のほうが湿気が多いため、夏のほうが色が濃くなりやすいのは事実です。

また冬の満月は高く上がるのに対し、夏の満月は最高時の高度が低くなる点については、
観測時の月の高度は平均的に冬より低いため、平均的には少しは色が濃い傾向と言えるかもしれません。
ただ、地平線から離れているのでほとんど関係ないレベルで、どちらかといえば湿度の違いほうが影響度が大きいはずです。
色は濃くても黄色程度で、赤やオレンジにはならないでしょう。

またちなみにですが、PM2.5や黄砂、排気ガスなどによって空気が霞んでいる場合も、月や太陽に色が付きやすくなります。
下の写真はPM2.5によるひどい霞のときに撮影した太陽です。
PM2.5による大気汚染で赤く染まる太陽

欠けてたって染まる
富士山登山道から見た昇る月

写真は富士山の登山道から見た、地平線近くの三日月です。
地平線に近い位置のため、色が濃くなっています

地平線付近で色が赤系に色付くのは、月も太陽も星も同じこと。月は欠けていても関係ありません。

そして赤だったり、オレンジだったり、黄色だったりというのは、そのときの湿度や空気の汚れ方で変わってきます。

先ほども書いたように、湿度の高い夏場は色が濃くなりやすいです。

ではピンク色になるのは?

これがある意味本題です。

最初に紹介した写真のように、赤やオレンジではなく「ピンク」に染まる条件とは?

実は注目してほしいのは、空の色です。
先ほどの写真では、空が水色でした。
実はあれは夜明けの写真でした。

他にも夜明けの月の写真を紹介しましょう。
房総半島・館山から望む”ストロベリームーン”パール富士

こちらの写真は夜明けの頃の月が富士山へと沈んでいく様子。
撮影したのは12月ですが、”ストロベリームーン”と呼べるくらいピンク色ではないでしょうか?

これは月が地平線に近いこととと夜明けという条件が重なっています。

またこれは月が昇ってくるとき(つまり日没)でも同じことが言えます。

満月の時期は、月と太陽が地球から見ておよそ180度の位置関係にあるため、月が出る頃に日が沈み、月が沈む頃に日が出ます

よって、満月の時期に月がピンク色に見えるというのは、条件としては正しいでしょう。


また、満月になる「時刻」は、昼の場合もあるし夜中の場合もあるし、常に違います。

よって、満月が地平線の近くにある(月の出または月の入り)とき、夜明けになるのか日没になるのかも日によって違いますし、また条件がそろうのは満月となるその日ではない場合もあります。

条件も細かく追っていくとかなり複雑になってきますね。

まとめると

いろいろ情報を出してしまったので、簡単にまとめます。

・ストロベリームーンはアメリカでのイチゴの収穫期にちなんでいる

・6月だから赤やピンク色に見えるというのはほぼ誤り

・天体は地平線の近くで見ると赤系に色付きやすい

・地平線の近くにある月を夜明けや日没の時間帯に見るとピンク色に見える場合がある

・6月は湿気が多いので色が濃くなる可能性が高いとは言える

・6月の満月は南中高度が低いので、高く上がっている月も少しは色が濃く見える可能性はある。(ただし濃くても黄色)


ハム

完全に余談ですが、「ストロベリームーン」がハムと似ていて区別がつかないという話題は、個人的には好きです(笑)

ウソの情報が流行るのはやるせない気持ちになりますが、こういう遊び心は大歓迎!



サラミやソーセージまで。

今年も早速このネタが出てきています。

ウソの情報に踊らされずに楽しめたら良いですね。


自然と触れ合うのはいいこと

最後に大事なこと!

誤情報や、話題性だけを重視したネタのようなものはあまり好きませんが、
そもそもは「自然の美しさ、素晴らしさを感じよう」というテーマが根底にはあると思います。

こういう話題をキッカケに、いつもはスマホばかり、家の中ばかりという人も外に出るようになったら素晴らしいです。

月も太陽も、毎日昇って、沈んでいきます。

毎日のことなんですが、それを山や海などから見ると、それだけで感動するものです。

写真を撮る人もそうでない人も、ぜひともこの感動をたまには味わって欲しいですね。

当サイトで公開している「ふじともマップ」を使えば、指定した日の日の出・日の入り・月の出・月の入りの時刻と方角を調べることもできますよ。
(地図下部の「こよみ」からどうぞ。)

満月の前後はいつでも”ストロベリームーン”を見られるチャンスがありますので、ぜひチャレンジして見て下さい。


それでは、富士山写真家 オイでした。
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